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2023 年度 実施状況報告書

消化管細菌叢による認知特性への影響の解明:認知症メカニズムに関する疫学調査研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K10561
研究機関静岡社会健康医学大学院大学

研究代表者

栗山 長門  静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 教授 (60405264)

研究分担者 田原 康玄  静岡社会健康医学大学院大学, 社会健康医学研究科, 教授 (00268749)
尾崎 悦子  京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00438219)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード消化管細菌叢 / 認知特性 / 細菌叢メタゲノム / 老年疾患コホート研究
研究実績の概要

近年、高病原性誘発性の消化管細菌叢(便及び口腔内)は、認知症の要因の一つと考えられている。本研究では、認知症コホート検診で蓄積している臨床データを用いて、各種データの重み付けを行い、消化管細菌叢から見た認知症発症への影響やインパクトの解明を行う。研究代表者が従事している認知機能障害の疫学研究において、2018-2019年度に、高齢者約200人に、認知機能検査、頭部MRI、便検体、食事記録調査などを実施した。2023-2024年に、その追跡調査を予定し、2023年3月に、第1回目の健診(120名)を実施出来ている。また、2023年から2024年にかけて、新しく立ち上げた静岡住民コホート研究では、上記結果のvalidationを予定している。本研究では、消化管細菌叢を測定し、認知特性に影響する細菌叢を明らかにする。また、摂取栄養素別に、本疾患と細菌叢との関連の有無を明らかにする。

本研究は、これらの認知症コホート研究に根ざす記述疫学と分析疫学にて、認知症解析として、消化管細菌叢の特徴を検討する。そして、認知機能低下の予防につながる生活習慣などを探索する。現在、腸内細菌叢と食事記録から算出した栄養素との関連では、ファーミキューテス門は男性ではナトリウムと負、女性では亜鉛、ビタミンE、およびビタミンB12と正、アルコールと負の関連が認められた。バクチロイデス門は男性では鉄と負の関連が認められることなどが判明しており、今年秋の学会で、第1報として共同研究者が発表予定である。

そのほか、脳(MRIの容積変化ならび白質)病変と消化管細菌叢の関連解析を行い、学問的意味を見いだすことも予定する。同様の研究は、今までほとんどなされておらず、新知見を得られる可能性が十分あり、認知症の公衆疫学領域において、学術的な独自性と創造性が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在までに、研究計画を倫理申請して承認・認可(番号RBMR-G-144)(番号SGUPH_2022_
001)を受けている。2022年12月から新たに実施している静岡住民健診調査で、本研究への同意を得た参加者360名の便メタゲノム測定を実施済であり、整理途中の健診臨床データと突合中である。
また、新たに、2024年1月から3月にかけて実施した住民健診で270名の検体を収集出来たので、-80℃フリーザーに厳重に保管できており、引き続き、細菌叢の測定を継続して行う準備中である。上記測定済のデータ結果と合わせて、今年度に解析を行う予定である。このように、消化管細菌叢データとともに、各種の臨床データ測定を本研究の解析に供することが可能となりつつある。
また、2024年度も、同年12月以降に、静岡県内で地域住民のコホート健診を継続し便検体や臨床情報を収集する予定である。

今後の研究の推進方策

研究代表者および共同研究者は、地域住民における老年期認知症コホート検診研究(2018年~2019年に実施)について、2023-2024年に、追跡調査を予定しており、2023年3月に、第1回目の健診(120名)を実施した。その結果をもとに、消化管細菌叢メタゲノム毎の検討を、対象疾患(認知症)における縦断解析として行っていく予定である。また、可能であれば、代謝産物であるメタボローム解析による測定データを追加して行い、探索的解析および多変量解析などにより包括的な研究を予定する。
また、研究分担者とともに、2022年12月より、静岡県の地域住民(1100人対象)における認知機能テスト、頭部MRI、食栄養調査を、新たな調査として実施している。上記のうち、630名からの検体で得られた消化管細菌叢の候補を、このvalidation studyとして測定を行う予定で,現在測定してデータ収集中である。
そして、最も強力に認知症発症に寄与しうる高病原性消化管細菌叢の組み合わせを決定する。検診では、詳細な食事記録も調査できており、腸内細菌叢の群別比較で、認知症や老年疾患の進展予防が可能であるかも、準備・検討を予定する。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由は、当該年度の検体収集が1月から3月の年度末になり、住民研究健診で収集できた検体の依頼測定が、次年度の春以降になったためで ある。このため、腸内細菌などの測定計画は、翌年度に測定研究費を使用すべく、このような使用額請求となった。その背景には、地域住民の研究健診事業は、行政が実施している特定健診事業と時期が重ならないようにする必要があるため、春から秋にかけての特定健診事業の繁忙期ではなく、それが終了した冬以降に行う必要があったためである。そのための調整は必要であったが、本研究計画上、研究費の使用計画に大きな変更なく、現在まで遂行できている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] ロコモティブシンドローム(運動器症候群)(LS)と自律神経系の関連メカニズム.2023

    • 著者名/発表者名
      栗山長門、尾﨑悦子、 松井大輔、 小山晃英、渡邉功、山田、田原康玄、水野敏樹、渡邊能行.
    • 学会等名
      第9回日本サルコペニア・フレイル学会
  • [学会発表] 運動器症候群(ロコモティブシンドローム)診断におけるコルチゾールを介した交感神経の生理学的活動.2023

    • 著者名/発表者名
      栗山長門、尾﨑悦子、小山晃英、松井大輔、渡邉功、山田惠、水野敏樹、渡邊能行.
    • 学会等名
      第76回日本自律神経学会総会
  • [学会発表] 同居している高齢者の食事別共食状況とサルコペニア診断指標との関連2023

    • 著者名/発表者名
      西川 祈沙、串田 修、塚本 敏也、中野 渉、中野 聡子、栗田 泰成、髙木 大輔、加藤 倫卓、栗山 長門、田原 康玄、合田 敏尚、静岡研究グループ.
    • 学会等名
      第13回日本リハビリテーション栄養学会学術集会
  • [学会発表] 亜鉛摂取量と脳の各解剖構造の体積およびその変化率の相関についての検討.2023

    • 著者名/発表者名
      窪田博亮、赤澤健太郎、栗山長門、尾﨑悦子、松井大輔、小山晃英、酒井晃二、高田明浩、丸中良典、水野敏樹、山田惠.
    • 学会等名
      第59回日本医学放射線学会臨床大会

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公開日: 2024-12-25  

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