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2022 年度 実施状況報告書

オルト-トルイジン等芳香族アミンによる健康影響に関するコホート研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K10565
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

中野 真規子  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70384906)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードオルトトルイジン / 芳香族アミン類 / コホート研究 / 尿中芳香族アミン
研究実績の概要

2015年12月、オルト-トルイジンを含む芳香族アミン等を原料とし、染料の中間体を製造する40人規模の工場で、退職者を含む男性作業者5人の膀胱がん集団発生事例があった。我々は、当該事業所で2017年1月から疫学調査を開始し、本研究で、2022年4月に、作業者30名に自覚症状、既往歴を含む自記式健康調査票の記入および膀胱がんの腫瘍マーカーである尿中NMP-22を測定した。本調査の結果から新たな膀胱がんの罹患者は認めなかった。膀胱がんの既往歴のある者を除外し、平均年齢50.3歳、尿中NMP-22(基準値<12.0 U/mL)の平均値 3.2 U/mL(範囲 <2.0~6.9)で、全員正常範囲内であった。膀胱がんの新規罹患者を認めなかったため、特殊健康診断の健診項目としての尿中NMP-22の測定の有効性の検討はできなかった。
また、2020年に、国際がん研究機関(IARC)は、複数の芳香族アミンの発がん性分類(アニリン; グループ 3から2A, オルト-アニシジン; グループ 2Bから2A)を見直している注目すべき化学物質で、曝露経路は吸入、経口、経皮がある。芳香族アミンは、食事、タバコなどの一般環境からの曝露もあるため、研究協力者と芳香族アミン(オルト-トルイジン、アニリン、2,4-ジメチルアニリン、オルト-アニシジン)への職業性非曝露者の尿中のバイオモニタリングの検討を進めるためのフィールドを開拓し、分析を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

膀胱がん集団発生の当該事業所での追跡は、諸事情により2022年4月の調査で追跡終了となった。今後は、職業性曝露者に対する曝露のベースラインとなる、非職業性曝露者の芳香族アミンおよびその代謝物の尿中濃度の検討を行えるフィールドを開拓したため

今後の研究の推進方策

疫学調査としては、膀胱がん集団発生の当該事業所での追跡は、2022年4月の調査で終了したが、これまでの追跡調査による自記式健康調査票の血尿、残尿感等の泌尿器自覚症状の有所見率の推移を明らかにし、尿潜血、尿細胞診、NMP-22との関連を検討していく。
また、2020年に、国際がん研究機関(IARC)は、複数の芳香族アミンの発がん性分類(アニリン; グループ 3から2A, オルト-アニシジン; グループ 2B→2A)を見直している注目すべき化学物質である。芳香族アミンは、食事、タバコなどの一般環境からの曝露もあるため、研究協力者と芳香族アミンへの職業性非曝露者の尿中のバイオモニタリングの検討を進め、曝露者のベースライン値の検討をしていく。

次年度使用額が生じた理由

当該事業所でのコホート研究継続は困難になり、職業性非曝露者の尿中のバイオモニタリングの検討を進めることとなった。当初の使用計画と多少異なるが、おおむね順調に使用できている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 非職業性曝露者の芳香族アミンおよび代謝物の尿中濃度測定2023

    • 著者名/発表者名
      永滝陽子、中野真規子、大前和幸、武林亨
    • 学会等名
      第96回日本産業衛生学会
  • [学会発表] オルトトルイジン曝露作業者における膀胱がん2022

    • 著者名/発表者名
      中野真規子
    • 学会等名
      日本産業衛生学会関東地方会第296回例会
    • 招待講演
  • [学会発表] オルト-トルイジンの生物学的許容値の検討2022

    • 著者名/発表者名
      中野真規子、永滝陽子、大前和幸、武林亨
    • 学会等名
      第95回日本産業衛生学会
  • [学会発表] 尿中芳香族アミンおよび代謝物分析2022

    • 著者名/発表者名
      永滝陽子、中野真規子、大前和幸、武林亨
    • 学会等名
      第49回産業中毒・生物学的モニタリング研究会

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公開日: 2023-12-25  

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