研究課題/領域番号 |
22K10566
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
真野 泰成 東京理科大学, 薬学部薬学科, 教授 (60406254)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | フレイル / 高齢者 / 不適切処方 / 有害事象 / 医療ビッグデータ |
研究実績の概要 |
フレイルは健康と要介護の中間的存在とも呼ばれており、高齢者では、加齢に伴う脆弱性の亢進により要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態「フレイル」を経ることがある。これまで高齢者全般を対象とした医薬品使用による薬物有害事象研究に関する報告はあるが、フレイル高齢者を対象に着目した研究は少ない。本研究の目的は、フレイル高齢者の安全な薬物治療の実施を目指して、レセプトデータ等の医療ビッグデータを用いて、日本におけるフレイル高齢者における不適切処方の実態を把握するとともに安全性を明らかにすることである。具体的には、高齢者を対象としてレセプトデータ内の幾つかのICD10コード(国際疾病分類)を組み合わせてフレイルを特定し、「フレイル群」、「非フレイル群」に分け、不適切処方(PIMs: Potentially Inappropriate Medications)や薬剤の負荷を客観的に評価する指標としてのDrug Burden Index(以下DBI)を指標とし実態および処方の複雑性の実態について調査する。さらに、転倒骨折などの有害事象との関連を評価する。2022年度は東京理科大学倫理審査委員会へ人を対象とする生命科学・医学系研究倫理審査申請を行い、承認を得た。また、倫理審査委員会での承認後、リアルワールドデータ株式会社が保有する電子診療録・DPCデータ・レセプト等医療情報を統合したデータベースの購入を行った。本データベースの母集団は約 2,000 万人規模の患者数であり、65歳以上の高齢者も含め、どの年齢層のデータも満遍なく保持されているのが特徴である。本研究の対象患者は2020年1月1日から2022年12月31日の間で65歳以上の高齢患者とした。また、レセプトデータ内でPIMSおよびDBIを特定するための各種薬剤およびATCコード一覧表を作成しデータベース内での抽出を可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画では、2022年度は、倫理委員会への申請、レセプトデータ等のビッグデータの入手、フレイル高齢者患者の不適切な処方の実態と処方の複雑性の実態調査を実施する予定であった。しかし、65歳以上の高齢者も含めた医療ビッグデータの入手に時間を有してしまった。レセプトデータ内でPIMSおよびDBIを特定するための各種薬剤およびATCコード一覧表を作成し、データベース内での抽出が可能となり実態調査の準備は整った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、フレイル患者における不適切処方(PIMS)、薬剤負荷(DBI)などの実態および関連性の検討を行う。レセプトデータ内の幾つかのICD10コードを組み合わせてフレイルを特定し、「フレイル群」、「非フレイル群」に分け、PIMsやDBIなどの実態について調査する。さらに、フレイルとPIMs使用の関連、フレイルとDBI使用の関連などについて評価を行う。これらの関係性については患者背景因子を考慮した解析を行う予定である。さらに、PIMsやDBIと転倒骨折などの有害事象との関連を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入予定をしていた医療ビッグデータの購入先を変更したこともあり、計画していたよりも安価に購入することが出来たため。
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