研究課題/領域番号 |
22K10574
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
臼井 真利子 (伊藤真利子) 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (20726533)
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研究分担者 |
田鎖 順太 北海道大学, 工学研究院, 助教 (40791497)
山崎 圭子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (60732120)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 前向き出生コホート / 騒音 / 認知機能 / 学童 / 縦断的研究 |
研究実績の概要 |
自動車や航空機などによる騒音は、夜間の睡眠を妨げ、特に脳神経系の発達途上にある子どもの認知機能を低下させることが懸念される。しかし、これまでの研究は騒音と認知機能を同時点で調べた横断的研究がほとんどであり、胎児期からの騒音曝露がその後の認知機能に及ぼす影響は不明であった。加えて、空港近傍の航空騒音曝露に関する検討が多く、都市環境において最も曝露人口が多い道路交通騒音曝露の検討は少なかった。そこで、本研究では、胎児期からの道路交通騒音と子どもの認知機能との関係について明らかにすることを目的とする。既存の大規模な前向き出生コホート(環境省「子どもの健康と環境に関する全国調査」=エコチル調査)の参加児のうち、北海道・札幌サブユニットセンターで行う対面調査に参加した子どもを対象として、道路交通騒音曝露と認知機能の関連を縦断的・横断的デザインにより検討する。これにより、ガイドライン策定等への基礎的知見を提供し、心身ともに健康な成育環境の一端の解明を目指す。 2022年度は、対象児にタブレットPC上での認知機能検査(長期記憶・短期記憶課題)を個別に実施した。道路交通騒音曝露評価としては、札幌市内について、各建物壁面における道路交通騒音の平均レベルの予測計算を行った。 2023年度は、収集した認知機能検査データのクリーニングを行い、分布を確認して課題が対象児にとって適度な難易度であったことを確認し、国内学会で発表した。道路交通騒音曝露評価に関しては、詳細かつ大規模な計算を行うためのプログラムを開発し、国内学会で発表した。 引き続き、個人の平均騒音曝露レベルの推定を進めるとともに、認知機能検査データとの関連を解析して得られた結果を学会や論文で発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に計画していた認知機能データのクリーニングと分布の確認は予定通りに進行した。騒音曝露評価に関しては、数値計算プログラムの開発が進行し、翌年度に個人曝露レベルを推定する準備が整った。そのため、全体としておおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、個人の平均騒音曝露レベルの推定のために、各参加者の住所情報と紐づけを進める。その後、認知機能データとの関連を解析し、得られた結果を学会や論文で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
騒音レベルの計算のために前年度計上した、交通量に関するデータおよびソフト保守費用は、別途購入したため不要となった。次年度の解析補助の人件費・物品費・旅費に使用する。
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