研究課題/領域番号 |
22K10586
|
研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
菅谷 渚 横浜市立大学, 医学部, 助教 (90508425)
|
研究分担者 |
山本 哲也 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (60779396)
内海 千種 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (90463322)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | COVID-19 / メンタルヘルス / 前向きコホート研究 |
研究実績の概要 |
本研究では日本におけるCOVID-19パンデミックによる心理的影響やその寄与因子について大規模縦断調査を行うことを目的とする。我々は当該研究助成交付前にすでに1~4回目の緊急事態宣言時に発令地域の住民を対象に調査を行っており、2022年度は5回目の調査を実施した。 5回目の調査時は緊急事態宣言の発令はなかったものの、多くのCOVID-19陽性者が報告されていた時期であった。1,2回目調査の対象者全員に研究参加を募ったところ、16641名の対象者から回答が得られた。1~5回目調査の集計結果を概観すると、抑うつや心理的苦痛は2回目で減少はしたものの、パンデミック以前の先行研究と比較すると顕著に高く、その状態は5回目まで継続していた。さらに社会的孤立や孤独感については1回目から5回目にかけて改善が見られず、社会的孤立についてはむしろ深刻化していた。 また、3回目および5回目の調査データからアルコール使用とそれに関連する心理社会的要因の変化について論文を発表した(Sugaya et al, 2023)。問題のある飲酒およびアルコール依存症疑いを評価する尺度であるAUDITは1年間の状況を尋ねるものであり、1回目の緊急事態宣言から約1年後と2年後に実施された3回目調査と5回目調査はアルコール関連問題の評価を行う時期として適切であった。分析の結果、5回目調査時の問題のある飲酒は、3回目調査時に報告された男性であること、未婚、世帯年収の高さ、高年齢、社会的ネットワークが広さ、COVID-19予防行動の少なさにより予測された。さらに、5回目調査時におけるアルコール依存症疑いは、3回目調査時に報告された男性であること、不安の強さ、ソーシャルネットワークが広さ、運動量が多さ、経済状態が悪化、生活必需品の不足、食生活の不健康さ、COVID-19の予防行動が少なさによって予測された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予算の都合上、半年に一回の調査はできないものの、2022年度の調査は実施できており、成果発表も順調に行うことができている。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度以降の追跡調査(6回目)についても検討を進めている。また、すでに得られたデータについても解析を進めており、アルコール使用や社会的孤立など様々な視点から成果をまとめて学会発表や論文投稿を行うほか、一部データの公開(Scientific dataでの論文発表も含めて)についても準備を進めていきたいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者の方で予定していた成果発表に関する支出を延期したため、次年度使用額が生じた。次年度は翌年度分の助成金と合わせて学会発表のための出張費用などに支出される予定である。
|