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法医鑑定において鑑定対象の飲酒の有無は重要である。通常は検死・解剖時に血液を採取して血中エタノール濃度を測定するが、当初アルコール検査は不要との判断から検査が実施されず、事後にその必要性が生じたときに血液やその代替検体が保存されていない場合を想定して、ホルマリン固定臓器がアルコール検査用の検体となり得るかを明らかにすることを目的に研究を遂行し、以下の結果を得た。 血液及び冷凍保存した臓器中のエタノール濃度がよく相関し、ホルマリンに浸漬していない臓器は血液の代替試料になることがわかった。 飲酒が明らかな事例から採取し長期間ホルマリンに浸漬保存されていた肝臓、腎臓、肺臓、脳からはヘッドスペースGC法でエタノールが検出された。一方で、非飲酒者では臓器から有意なエタノールは検出されなかった。 飲酒が明らかな事例から肝臓、腎臓、肺臓、脳を採取し、臓器を浸漬するホルマリンの量及び期間とホルマリン固定臓器中エタノール濃度、死亡時エタノール濃度の関係を検討した。未固定の臓器中エタノール濃度と比較し、ホルマリン固定臓器では浸漬直後にエタノール濃度は減少し、その後はほぼ一定であった。臓器中エタノール濃度の減少率は、浸漬するホルマリン量が多いほど大きかった。臓器によって減少率に有意な差はなかった。死亡時血中エタノール濃度による減少率の差は認められなかった。 長期間ホルマリンに浸漬した臓器中のエタノールは、ホルマリン浸漬後速やかにホルマリン中に拡散し、死亡時の血中エタノール濃度に関わらず著しく低下するので、飲酒の有無判定は可能であるが、死亡時の血中濃度を推定することはできないものと考えられる。
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