研究課題/領域番号 |
22K10614
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
池谷 博 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30292874)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 年齢推定 / 皮膚 / 身元不明死体 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
研究者はこれまでに個人識別を行う上で有力な情報である年齢推定材料として皮膚に着目し,ラマン分光法・皮膚画像解析法等による死体の年齢を推定する方法の開発を行い,非常に良い結果を得ることに成功した.本研究では,皮膚の加齢メカニズムをより詳細に解明するために,①皮膚画像とラマン分光測定に加えて,皮膚の最終糖化産物と皮膚の弾性測定を行い,年齢との相関を検討する.また,②CT画像等から年齢を推定するアルゴリズムをAIで作成し,推定された年齢と,各種測定値との相関を検討することで,顔貌の加齢に最も影響している因子は何か解明するとともに,各種測定法の中における年齢推定に最適な指標は何かを解明する. 本年度においては,皮膚の弾性とAGEに関しては200例以上の症例でデータを得ることができており,現在結果の解析がほぼ終了し,論文を作成している状況である.また,ポータブルラマン分光計を用いて,皮膚からの年齢推定を実施し,良好な結果が得られてたため,論文として投稿中である.さらに,顔画像に関しては,現在年齢だけでなく,死後経過との関連に関しても機械学習のための膨大なデータを入力中である.椎体のCT画像が表す骨密度によって年齢を推定する試みについてEstimating the age at death for forensic cases using quantitative computed tomographyForensic Sci Int. 2022 Aug;337:111367. doi: 10.1016/j.forsciint.2022.111367. Epub 2022 Jun 15に公表された.また,椎体の3DCT画像を用いて年齢を推定する試みについては,Deep Neural Networks-Based Age Estimation of Cadavers Using CT Imaging of Vertebrae.Int J Environ Res Public Health. 2023 Mar 9;20(6):4806. doi: 10.3390/ijerph20064806.に公表された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文も2件公表でき,現在もう1件審査中である.また,データの解析も終了し,論文作成中の案件が2件ある.データの入力に関しても計画通り進んでおり,今のところ研究計画に大きな遅れはない.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,速やかにポータブルラマン分光計を用いた皮膚による年齢推定法の論文を公表する.また,肌の弾性と皮膚のAGEの解析結果の2つについても論文を作成する予定である. 同時に,顔画像やCT画像を用いた機械学習による年齢推定の方法に関して,論文を作成できるように更なるデータの入力を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で旅費の高騰や,大学の海外出張の方針により,学会への参加がいまだ困難であり,参加を見送ったこと.また,論文の掲載料がない雑誌への公表が1つあったため.
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