研究課題/領域番号 |
22K10648
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
山本 裕子 畿央大学, 健康科学部, 教授 (40263272)
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研究分担者 |
鈴木 明子 城西国際大学, 看護学部, 教授 (70241974)
村井 文江 常磐大学, 看護学部, 教授 (40229943)
石原 あや 兵庫医科大学, 看護学部, 教授 (20290364)
石村 佳代子 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (40295564)
山田 律子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (70285542)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 看護系大学教員 / 支援プログラム / 移行理論 / 新任助教 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、看護系大学教員の定着を促進し、教育の質の充実を目指すために、新任助教の臨地から教育への移行経験を明らかにした上で、移行理論を基盤としたプログラムを開発し、看護実践者から看護教育者への円滑な移行に貢献することである。そのため、1)新任助教の移行経験を明らかにする、2)新任助教の移行支援プログラムの試案を作成する、3)移行支援プログラム案を試行する、4)移行支援プログラムの実施と評価の4段階で構成している。 令和4年度は新任助教の臨地から教育現場への移行期の経験を明らかにするための質的研究として、助教経験2年以上5年未満の助教17名を対象に1グループ3~5名から構成された5グループでフォーカスグループインタビューを実施した。その結果、新任時の経験として、期待していたようには研究活動ができないことやロールモデルがいない中での実習指導、学生のモチベーションの低さ、看護現任教育とは異なる基礎教育の大変さ、不慣れな大学の事務・教務システム、授業以外の雑務の多さ、臨地での職位からのギャップなどに対する戸惑いを経験していたが、上司や同僚を始めとする周囲に支えられて困難を乗り越えていた。また、学生の成長プロセスが教員継続のモチベーションとなっていた。さらに、教員としての能力を高めるために、研究時間の捻出や同僚との自主研修など自身で様々に工夫している現状があった。そして、学年暦を一巡すると助教としての一通りの仕事ができるようになることが明らかとなった。このことから着任後1年以内の支援の重要性が示唆された。 今後、さらにデータ分析を進め、国内外での研究発表や交流集会の場を通して意見交換を行い、移行支援プログラム開発への示唆を得る。それらを踏まえて、新任助教の移行支援プログラムの試案を作成する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は計画していた新任助教の臨地から大学への移行の経験についてのフォーカスグループインタビューを実施することができた。ただし、看護系大学の特徴といえる看護学実習の時期との関係で助教を対象にインタビューができる期間が限定され、比較的実習が少ない年度末にインタビューが集中したため、分析はやや遅れている。しかし、令和5年度の計画を進める上での支障がない範囲であり、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は令和4年度の調査結果の分析を進めて、学術集会等で成果を発表するとともに論文の執筆を行う。また、当初の計画通り、令和4年度の研究成果や文献レビュー、我々の先行研究を活用して移行理論に基づく移行支援プログラムの試案およびプログラムの評価指標を検討する。これらは、看護系大学の経験年数2年目の助教からの意見聴取、および看護教育学を専門とする教員を含む看護教員、高等教育の専門家および研究者によって構成する専門家会議にて検討する。あわせて、新任助教への支援のプラットフォームとなるホームページの作成に着手する計画である。 令和6年度以降は令和5年度の成果をふまえて実際にプログラムを試行し、ブラッシュアップを行って、クロスオーバー研究による実施と評価を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品の購入やインタビューの録音データのテキスト化の際に、計画段階よりもさらに安価になるように検討し、支出を抑制した。また、COVID-19による対面でのインタビューが制限されたため、交通費の支出が抑制できた。 COVID-19の制限の緩和が見込まれており、対面会議の実施や令和5年度に計画しているホームページ作成費用に充当する計画である。
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