研究課題/領域番号 |
22K10664
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
井上 由理子 昭和大学, 医学部, 講師 (50509958)
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研究分担者 |
澤 智華 昭和大学, 医学部, 講師 (80422541)
井上 明男 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (80107060)
伊藤 純治 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (90159880)
馬目 佳信 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30219539)
田中 美香子 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助手 (00467060)
高柳 雅朗 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (80287523)
大塚 成人 昭和大学, 医学部, 教授 (90296947)
江連 博光 昭和大学, 医学部, 准教授 (20267230)
高木 孝士 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (10774820)
畑 春実 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (00396441)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 褥瘡 / ランゲルハンス細胞 / 酸化ストレス |
研究実績の概要 |
褥瘡いわゆる「床ずれ」は、同一姿勢により長時間血流阻害が起こった結果、皮膚の壊死や潰瘍をきたす難治性の皮膚障害である。激しい痒みと炎症を発症し、患者にとって大変苦痛なものであり、根治が非常に難しく看護の困難さの一因となっている。褥瘡は皮膚組織における血管新生阻害、皮膚ランゲルハンス細胞におけるCD39(ATP分解酵素)の発現低下によるATP増加、亜鉛欠乏による抗酸化作用能力の低下などによって炎症が起こると考えられている。今年度、本研究では、褥瘡様壊死状態を再現した褥瘡発症モデルマウスを用いた動物実験と細胞培養実験を行った。 褥瘡モデルマウスはICR系ヘアレスマウス雄15週齢の背側皮膚にネオジウム磁石(マグファイン社製)2枚の間に皮膚を挟み、加重圧力15MPaにて1日5時間5日間圧迫する。本モデルマウスは磁石装着後2日目に部分的な壊死が見られ、5日目には炎症反応がみられた。磁石圧迫によって形成した壊死部位(表皮~筋層)を摘出し、HE染色・種々の免疫染色像の顕微鏡観察を行った。 ランゲルハンス細胞はICR系マウス皮膚をトリプシン処理後、抗CD207を用いた磁気ビーズにより分離し培養する。核酸、亜鉛キレート剤(TPEN)を添加しCD39, CD207, CD11cなど様々な因子の発現および細胞形態の解析を行った。 現在、例数を増やして褥瘡修復の進行度に関する更なる解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
使用するヘアレスモデルマウスへの褥瘡作成も順調通り進み、褥瘡部位の傷の修復具合、マクロファージ活性化、結合組織隆起(ケロイド)等を組織学的解析もおおむね順調に進んでいる。現在、データ解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス皮膚ランゲルハンス細胞における細胞外核酸、亜鉛の刺激応答のIn vitro解析を行う。抗体と磁気ビーズを用いて調整したランゲルハンス細胞に核酸、亜鉛キレート剤TPENを添加し、MTT Assay等で細胞生存解析、DNAマイクロアレイ解析(外注)とRT-PCR法によりCD39, CD207, CD11c等の遺伝子発現解析を行う。ランゲルハンス細胞の増殖および活性化の機序を解析する。PMA誘導U937マクロファージ様細胞株を用いた解析より細胞外dNTPsはマクロファージに作用することが明らかになっているため、興味深いデータが期待される。褥瘡局所における組織解析および細胞外核酸の検出する。褥瘡モデルマウスの組織解析を行う。患部周辺の酸化ストレス度(8-OHdG, 4HNE)及び、神経C繊維(PGP9.5)、ランゲルハンス細胞(CD207)、炎症細胞浸潤(HE, CD11b, F4/80)を用いた抗体免疫染色により評価する。細胞外核酸はExtracellular Nuclear Red reagent (Cayman)やSytox Green (Thermofisher)を用いて検出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に購入する予定であった研究を遂行する為に必要な顕微鏡などの機器を購入しなかった。また、動物購入費や維持費が、当初の申請した予算より少なく済んだ。次該年度は、研究データを集積する為に当該年度に購入しなかった機器を購入し、動物実験も追加で行う予定である。
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