研究課題/領域番号 |
22K10673
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研究機関 | 西九州大学 |
研究代表者 |
小林 幸恵 西九州大学, 看護学部, 教授 (20325062)
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研究分担者 |
古島 智恵 佐賀大学, 医学部, 准教授 (00363440)
大坪 奈保 西九州大学, 看護学部, 講師 (20634926)
古賀 美紀 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (40325056)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 高齢者 / 孤独感 / セルフケア |
研究実績の概要 |
本課題に係るこれまでに継続していた研究について分析、学会発表を行った。慢性疾患のある独居高齢者は、どのような経験をしながらセルフケアを維持しているのか、日常生活においてどのようなことが孤独感に至ると考えられるのかについて、内面世界の構造を明らかにすることを目的に、65歳以上の独居高齢者で、継続的に受療している者10名に対し、インタビューガイドに基づく半構造化面接を行った。分析は、修正版グラウンデッドセオリー・アプローチを用いた。対象者の年齢は74~88歳(平均83.6歳)で、全員女性であった。独居歴は3~24年であり、現在治療中の疾患は、高血圧、不整脈、脳梗塞、パーキンソン病、リンパ腫などであった。データの分析を通して、15の概念、6つのサブカテゴリーから、最終的に3つのカテゴリーが生成された。慢性疾患を抱えながら独居生活を継続している高齢者は、できる範囲で無理のない健康管理を行い、何かができない自分を受け入れて折り合いをつけて生活し、セルフケアを維持していた。また、「孤独感はない」としつつも、孤独感に至りうる寂しさは抱いており、この相反する思いがその時々によって揺らぐものであることが分かった。この揺らぐ気持ちを支えるのは、家族や友人といった親しい人々との相互交流であるため、これらの支援が受けられない場合、孤独感に至るのではないかと考える。独居高齢者がセルフケアを維持して生活するには、人的な交流ができる機会を確保し、強い孤独感を感じずに過ごせる環境作りが求められるとの考察に至った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題に係るこれまでに継続していた研究が、新型コロナの再流行により一時中断せざるを得なかった(対面でのデータ収集であったため)。しかし、予定した時期から遅れたものの、データ収集・分析は完了し、学会発表は終了した。今後は学術誌への投稿を予定している。また、本来予定していた計画に今年度から戻せる見通しが立ったことから、「やや遅れている」が妥当と考えるため。
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今後の研究の推進方策 |
高齢者に対する孤独感への政策実施状況について、全国調査を行う予定である。対象は全ての市町村であり、我が国における孤独感対策の市町村レベルでの実情を調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の実施計画は、COVID-19感染拡大によって予定通りに進まなかったため、最低限の使用にとどまった。今年度は感染も落ち着くことが予測され、全国的な調査の実施とそれに伴う費用が見込まれること、専門家への意見聴取などの旅費も発生することが予想されるためである。
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