研究課題/領域番号 |
22K10730
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
福重 真美 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (80865600)
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研究分担者 |
松本 智晴 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 准教授 (80540781)
伊賀崎 伴彦 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (70315282)
前田 ひとみ 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (90183607)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | VR / 協同学習 / 脳波 / ディープ・アクティブラーニング |
研究実績の概要 |
2023年度は,看護大学生5名(平均年齢20.8歳)のプレテストによるVR教材の学習効果とVR酔いの解析,前年度抽出した当VR教材の改善点に対する改良を行った。 VR教材の学習効果は,脳波および自由記載内容から解析を行った。脳波は,安静時とVR介入時との同一群間比較を行い,β波含有率(%)のみにおいて介入時の有意な増加が示された。コントロール群がなく結果の解釈に限界はあるものの,VRによる集中度向上が示唆された。今後,アイトラッキングや心電図計測との解析,コントロール群との比較を行い検証していく。自由記載では,当VR教材により,高齢者が地域で暮らす上での課題について住環境や身体機能,社会資源等の視点からの気づきが多く挙げられた。これらの課題に対する対応として,看護の視点からの回答は少なかったが,高齢者の身体機能の維持・向上や,転倒リスクのアセスメントと指導介入が挙げられた。当VR教材により,地域における高齢者の暮らしのイメージ化に一定の学習効果が得られたが,到達目標と学習プログラムの適切な設定を行っていく必要がある。 VR酔いについて,先行研究で指摘される関連因子―乗り物や映像酔いの経験,VR経験との有意な関連はなかった。安静時とVR介入時のSSQ(Simulator Sickness Questionnaire)得点比較を行ったところ,VR介入時の眼精疲労について有意な増加が示された。自由記載からは,同一の注視点追跡,視覚情報と平衡感覚の不一致による影響が示唆された。このVR酔いを誘発し得る点と,その他の課題(VR教材内の色調や登場人物の動作)について,VR教材の改良を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VR酔いや学習効果の点から抽出した課題に対して,VR教材の改良を行った。しかし,本研究目的の一つであるVRを用いた協同学習を行う上で,複数人で同時に同一VR空間内に没入する動作性の調整に時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
協同学習を可能にするために改良したVR教材を用いて,データ収集および解析を行っていく。解析では,アイトラッキングや心電図計測との統合,コントロール群との比較を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
プレテストが中心となったため,人件費や謝金の執行額が少なくなった。来年度は,コントロール群を設けた協同学習の介入調査を計画しているため,物品や謝金,結果報告の旅費等が必要である。
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