研究課題/領域番号 |
22K10735
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
矢野 亜紀子 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (50909281)
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研究分担者 |
福田 広美 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (00347709)
荒木 章裕 大分県立看護科学大学, 看護学部, 講師 (30805718)
村嶋 幸代 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (60123204)
姫野 雄太 大分県立看護科学大学, 看護学部, 助教 (90909277)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 看護管理者 / 中小規模病院 / 看護管理能力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中小規模病院の看護管理者の看護管理行動が看護の質と定着に及ぼす効果予測モデルを開発することである。全国のトップマネージャー(看護部長等、以下TM)、ミドルマネージャー(看護師長等、以下MM)、スタッフ看護師(役職を持たない看護師、以下SN)の3階層を対象とする調査データをもとに、TMの看護管理行動が、MM,SNの看護管理行動に及ぼす影響と、さらに組織が提供する看護の質と職員の定着に及ぼす影響を明らかにする。 研究初年度にあたる令和4年度は、予備調査データの再解析を行い、仮説モデルの構築をみた。解析の結果、TMとTMの看護管理行動の関連、MMの看護管理行動とSNのチームワーク、職務満足間は関連は、いずれも限定的であることが分かった。そこで、TM、MM、SN各層のデータを再度分析し、看護管理行動、SNのチームワーク、職務満足それぞれの関連要因を見ていくこととした。 分析結果の結果、TMの看護管理行動には「地域看護ネットワークへの参加」、「認定看護管理者研修修了レベル」が影響することが確認された。中小規模病院の看護管理者は看護管理を学ぶ機会が少ないことが問題となる中、地域の看護管理者のネットワークで行われる会議やイベント、支援事業などへの参加が、TMの看護管理能力を向上させる可能性が示唆された。。この結果については、令和4年12月の日本看護科学学会学術集会にて報告した。さらに論文化し、現在投稿中である。 TMの看護管理行動は、本研究で開発を目指すモデルの起点である。今年度はその向上方策が示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、TM、MM、SNを対象とするインタビュー調査を行い、予備調査で使用した「看護管理行動評価表」を基盤する新たな看護管理行動尺度を開発する計画であった。コロナ禍において、インタビュー協力者の募集が難航し、方法の変更を余儀なくされた。一方、中小規模病院のTMを対象とする支援事業の集合研修に同席する機会を得ることが出来たため、研修での観察をインタビュー調査の代替とすることにした。研修で行われるTMらのグループディスカッションに同席し、ディスカッションでの発言や報告された看護管理行動を観察、記録した。 次年度は、ディスカッションでの記録を参考に、看護管理行動尺度を完成させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
予備調査の結果より、当初想定していたTM・MM・SN間の看護管理行動の関連は一部に限られることが判明し、仮説モデルの修正・変更が必要であることが分かった。今年度は、作年度におこなったTMに関する詳細な分析を、MM、SSについても行った上で、仮説モデルの修正を図る。また、TMの支援研修での観察調査を継続し、TM、MMの看護管理行動尺度の作成に繋げる。SNの看護管理行動については、関連する先行文献を参考に、既存尺度の採用も含め検討する。上記によりTM・MM・SNの看護管理行動の測定尺度を決定し、量的調査にて検証を行いたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にてインタビュー調査が実現できず、調査に掛かる費用(協力者謝金、逐語録作成、研究者の通費)などの支出がなかったため。翌年度に一部実施の予定。
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