研究課題/領域番号 |
22K10742
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研究機関 | 清泉女学院大学 |
研究代表者 |
池田 よし江 清泉女学院大学, 看護学部, 助手 (80884791)
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研究分担者 |
宮林 郁子 清泉女学院大学, 看護学部, 教授 (40294334)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 看護学教育 / 薬理学 / 看護学学士課程 / 臨床判断力 / 臨床薬理学 |
研究実績の概要 |
科学的根拠に基づく看護実践のために,フィジカルアセスメント,薬理学,病態生理学等は,看護学基礎教育においても強化の必要がある.特に薬理学はその知識が,学士教育課程の演習や実習の中で“活用し身につく”機会が少ない.また,看護系大学の急増により,教育の人材不足は深刻である. 上記の背景を踏まえ,本研究では『看護実践を支える臨床判断力のコアとなる「薬理学」の知識・技能を強化した看護師育成を可能とする教育方法・教育プログラムの探索』を目的としている. 当該年度は,研究実施計画の中の,【調査4】医療系学部における効果的な薬理学教育方法の探索,について,①薬理学教育において効果を上げている教育方法,ユニークな教育方法を取り入れている教育機関をピックアップし,可能であれば実際の教育方法の視察を行う.②並行して国内外の薬理学教育の文献・書籍・教科書・資料・大学HP Web情報などを調査・入手し,知見を整理・精査し,教育方法や教育プログラムの示唆を得る.の一環として,まず,国内の4年制大学,看護学部における薬理学教育について,各大学ホームページ,シラバス,掲載されている教科書,書籍などから,教育内容,教育方法の調査に着手している.調査が終了次第,内容の整理を行い,次に看護学部以外の医療系学部における薬理学教育について,調査を拡大する. 並行して,国内の看護学における薬理学教育に関する論文検索、論文検討を行っている。これも、国内の文献調査・知見の整理が終了したら,国外の看護学部における薬理学教育に関しての調査を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究計画書作成時点では,前年度の仕事量を勘案し,所属長と協議の上,本研究へのエフォートを申告した.しかし,当初予定していた以外にも教育活動,特に他領域の臨地実習指導・引率等を年度途中で受命し,長期間にわたって担当することとなったため,計画していたエフォートを研究活動に割くことが困難となった. また,研究代表者の所属機関が変更となったことに伴い,研究フィールドも併せて変更するか検討段階であり,新たな所属機関近隣の4年制看護系大学,病院等についても調査が必要である.
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今後の研究の推進方策 |
教育活動や大学運営以外に,本研究を含む研究活動にもエフォートを割けるよう,研究環境の変化を試みた.当該年度の遅延を勘案し,研究全体のタイムスケジュールを再考する. 【現在までの進捗状況】欄にも述べたが,研究代表者の所属機関が変更となったことに伴い,当初のままの研究フィールドで調査を行うか,または研究フィールドも併せて変更するか検討段階である.現段階では本研究内容や予測される結果に地域差があるとは考えられないため,もし,フィールドを変更したとしても研究に支障はないと考える.予定していた研究フィールドと,新たに検討している研究フィールドは距離的にも100Km圏内と近いため,研究者が移動することも容易である.母集団の範囲,サンプルサイズ,特にインタビューの実現可能性を再検討して決定する予定である. 今年度は,現在遂行中の【調査4】医療系学部における効果的な薬理学教育方法の探索,の継続と並行して、【調査1】臨床における看護師の薬理学に関する看護実践能力獲得のプロセスと要因を明らかにする,に関して,臨床看護師を対象とした自記式質問紙調査を計画・実施し,研究対象者の中で協力の同意が得られた看護師には,随時,半構造化面接を実施し,深く掘り下げ,データを立体化することを予定している.【調査1】の分析に着手し,研究分担者,研究協力者とも協力して分析・考察を深め,問いを明らかにする. 【調査1】の分析結果を踏まえて,次の【調査2】現状の看護学基礎教育において看護大学生の薬理学の認識は強化されうるのか,薬理学に関する認識の関連因子を明らかにする,を調査するため,看護系大学生を対象とした質問紙の作成等準備に取りかかる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度,研究初年度となることから購入を検討していた各種設備備品等を,所属機関の共同研究室内に設置するスペースが確保できない等の理由から,設備備品類の購入を見送った.2023年度,所属機関が変更となり,前述の課題が解消されたため,翌年分として請求した助成金で当該年度予定した設備備品を順次購入予定である.物価上昇に伴い,研究計画書作成時点から,各設備備品の価格が上昇しているため,翌年分として請求した助成金は設備備品の購入に配分する. また,国内旅費については,Covid-19に関して,臨地実習受け入れ病院等から県外移動の制限に関する申し入れがあり,計画していた,他大学の教育調査を目的とした出張や,学会の現地開催への参加がかなわなかったため,支出がなかった.2023年度はCovid-19が5類感染症に移行したことに伴い,臨地実習を受け入れてくださる各医療機関の,教育機関への要請も緩和しつつあることから,当該年度予定していた出張や学会参加が可能となる予定である. 翌年分として請求した助成金の使用計画としては,物価上昇に伴い,個人インタビューのテープ起こし,テータ入力等にかかる経費が,研究計画時よりも上昇しているため,主に人件費に配分する予定である.
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