研究課題/領域番号 |
22K10776
|
研究機関 | 令和健康科学大学 |
研究代表者 |
苑田 裕樹 令和健康科学大学, 看護学部, 講師 (70614494)
|
研究分担者 |
喜多 敏博 熊本大学, 教授システム学研究センター, 教授 (20284739)
八木 街子 (佐伯街子) 自治医科大学, 医学部, 非常勤講師 (60610756)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 救急看護 / 看護実践力 / 臨床推論 / 看護教育 / Moodle / LMS / VR / 学習課題分析図 |
研究実績の概要 |
2023年度の計画を進めるために、定期的にミーティング(オンライン)を開催した。まず、高度化LMSの改善とコンテンツ実装(担当:喜多、苑田)については、能動的LMSの開発実績を踏まえ、VRコンテンツの制作と同時並行でLMSの機能とメリットを活かすことに重点を置くこととし、MoodleにH5P(Lumi)を組み合わせることで高度化させ、VRを使用しなくともMoodle上で360度映像を視聴できるコンテンツを実装している段階である。さらに、学習者が自身の進捗状況を確認できるよう完了プログラム機能を追加するなどの改良を加えている。Moodleに実装する360度動画は自施設での撮影に加え、外傷看護を専門とする講師等の助言を受け、撮影と編集を進めた。 救急看護における臨床判断力の習得システムの基本設計(担当:八木、苑田)については、日本教育工学会全国大会(2023年春季)で「救急看護における体系的アプローチに基づいた臨床推論能力育成のための学習課題分析」として報告した内容を基盤とし、「救急看護の体系的アプローチ」と臨床推論(仮説演繹法)を組み合わせる形で学習課題分析を明確にする作業を継続している。学習課題分析図の対象として、救急看護において臨床判断力が求められる症候の胸痛や呼吸困難、腹痛、頭痛、意識障害などの致死的疾患に焦点を置いているが、対象とする疾患や病態の範囲は再検討している。 臨床推論スキル検証のコンテンツの設計と開発(担当:苑田、喜多、八木)については、今後コンテンツの形成的評価を行い、改善点を整理して完成させていく予定としている。魅力的で学習効果の高いコンテンツを目指すため、インストラクショナルデザインのメリルの第一原理を基盤としてコース設計し、Moodle内での教材視聴と小テスト、及び習得したスキルの可視化により振り返り学習を充実させていく設計として開発を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度中に、形成的評価まで進める予定であったが、360動画の撮影と編集等が予定よりも時間を要したため実施に至らなかった。早急にコンテンツの制作を進め、形成的評価を実施し完成に向けて進めていく。
|
今後の研究の推進方策 |
1.高度化LMSの改善とコンテンツ実装(担当:喜多、苑田)。H5PをUser Interfaceとする高度化したLMSの構築を完了させる。そのために、動画撮影においては本学臨床シミュレーションセンターの模擬病室(集中治療室)を救急外来として、忠実性の高い環境下で、360度撮影カメラを用いて撮影する。編集においてはFinal Cut Proを活用してH5Pに使用する360度動画(またはVR動画)の制作とMoodleへの実装を進めていく。 2.救急看護における臨床判断力の習得システムの基本設計(担当:八木、苑田)。救急看護領域の看護師が臨床判断力を習得して看護実践力を錬磨するための学習コンテンツの構築を進める。致死的疾患に対する臨床推論に焦点をあて、症候別に明確化した学習課題分析図に基づき作成したシナリオをMoodleへ実装し、コンテンツを完成させる。 3.救急領域に従事する看護師を対象として、学習コンテンツの形成的評価を行う。LMSの精度や臨床推論スキルを検証し、臨床判断力を習得する教材となり得たかどうか、臨床実践レベルの教材であったかどうかの評価を実施し、改善点を整理しながら改良し、完成させる。 4.日本教育工学会、または関連する日本医療教授システム学会等で研究成果を報告し、論文投稿へ向けて準備を進める。 以上、最終年度となるため、これまで取り組んできたコンテンツが看護の質向上に寄与できるよう、デザインとLMSの完成を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
VRゴーグルを複数台購入予定であったが、MoodleにH5P(Lumi)を組み合わせることで高度化させ、VRを使用しなくともMoodle上で360度映像を視聴できるコンテンツを実装する方針としたため、現時点で使用額の残高が生じた。VRゴーグルやその他の機材を用いた研究についても継続する予定であり、学術集会での発表、論文投稿のために効果的に使用したい。
|