研究実績の概要 |
2型糖尿病患者は、甘味嗜好が強いため甘い物の摂取量を調整できず、食事療法の達成が困難である。また、筋力低下(サルコペニア状態)や運動意欲の低減により運動療法への取組が困難な場合がある。本研究では、「うま味成分の摂取は、2型糖尿病患者の甘味嗜好の抑制や運動意欲の向上といった情動を変容させ糖尿病性サルコペニア改善に有効か検証する」ことを目的とする。本研究により、うま味成分による筋肉(運動能)と脳(甘味嗜好性、運動意欲)への作用が明らかとなれば、2型糖尿病患者の味覚改善の重要性と改善法、食事療法と運動療法を両立させる為の新規手法、を提示できる。研究目的を達成する為、うま味成分の摂取による変化をヒトと動物において、以下①②③を検討する。①甘味感受性、甘味嗜好性の検討、②筋肉量、運動意欲の検討、③血中の摂食調節ホルモン、インスリン抵抗性の検討。本年度は、2型糖尿病患者を対象として、うま味成分の摂取は、筋発達と運動能・運動意欲(情動)の向上に有効か介入研究を実施した。1.うま味成分を摂取後、甘味の検知・認知閾値を全口腔法味覚検査にて検証した。2. 2型糖尿病患者の食事指導後、糖尿病病態が改善された患者において、うま味成分の摂取量と種類を食物摂取頻度法質問票(BDHQ法)により検討した。3.うま味成分摂取群の下腿周囲長、握力、身体機能(6m歩行速度、5回椅子立ち上がり)、四肢骨格筋量の変化を検証した。4.うま味成分の摂取群の運動意欲の変化について、質問票(Marcus, Rakowski, Rossi, 1992)による行動変容プロセス、意思決定バランス、運動時間を検討した。5.糖尿病改善効果について、空腹時血糖、HbA1c、インスリン抵抗性、摂食調節ホルモン(空腹時・食後のレプチン、アディポネクチン、FGF21)体重、体脂肪、BMI、TG、クレアチニン、ビタミンDそれら変化について検討した。
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