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2022 年度 実施状況報告書

腎移植レシピエントの精神面を支えるアプリケーション・ソフトウェア開発と効果の検証

研究課題

研究課題/領域番号 22K10809
研究機関三重大学

研究代表者

田村 裕子  三重大学, 医学系研究科, 助教 (30746722)

研究分担者 西川 晃平  三重大学, 医学系研究科, 准教授 (90444439)
岡田 元宏  三重大学, 医学系研究科, 教授 (10281916)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード腎臓移植 / アプリケーション・ソフトウェア(app) / アドヒアランス / 精神状態
研究実績の概要

本研究では、腎移植レシピエントの精神面を支えアドヒアランスを高めるアプリケーション・ソフトウェア(以下app)を開発すること、appの有効性を検証しあらたな精神的介入方法を見いだすことを主な課題とし、腎移植レシピエントの移植臓器の長期生着および良好な健康状態の維持を実現することを目的としている。
今年度は、三重大学医学部附属病院を研究フィールドとし、同施設に通院する同意を得られた腎移植レシピエントにappを導入し、appの活用によりアドヒアランスが向上した腎移植レシピエントの症例を検討するとともに、appによる支援内容について検討した。
appによる支援内容の検討については、腎移植後フォローを行っているレシピエント57名を対象とし、お知らせ・服薬管理・健康記録機能を有する移植後管理appを使用し、app導入前、導入2ヶ月後にアンケート調査を行った。質問内容は、1. app使用継続の意向、2. 自己管理の支えになることはあるか否か、3. appに望むこととして役立つと思った機能、4. 希望するお知らせが届く頻度・内容等である。
その結果、1. について、93%がappを継続利用することを希望した。2. について、app使用後には自己管理の支えがあるとした割合が有意に上昇した(63% vs 89%;p<0.001)。3. について、もっとも役立つ機能はお知らせ機能であった。4. について、お知らせの届く頻度は1カ月に1回程度、内容は医療情報を最も多く希望した。
このような結果から、appを導入したレシピエントは、appを利用した自己管理を肯定的に捉えており、appは自己管理を支えるツールの一つとなる可能性が示唆された。またapp使用を継続させ、効果的な支援を行うには、お知らせの頻度・内容の工夫が重要であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、三重大学医学部附属病院を研究フィールドとし、腎移植レシピエントや医療者への聞き取り調査後、appの試作版の運用・修正点の検討を行った。さらに、検討を行ったappをリリースし、同施設に通院する同意を得られた腎移植レシピエントにappを導入した。
appを導入した腎移植レシピエントに対して介入前、介入後にappの効果を検証するための調査を行った。
調査は、患者の負担を考慮した上で、適切な時期および調査項目を医療従事者と相談し実施した。
調査項目は、患者情報(年齢、性別、合併症、治療経過、体重、血圧、血液検査、尿検査、服薬状況、食事状況等)、appの利用状況・入力情報である。また、質問紙調査として信頼性・妥当性が確認された各評価尺度(SF-36v2: QOL、BAASIS: アドヒアランス)および質問紙を用いて調査を行った。

今後の研究の推進方策

今後も、同施設に通院する同意を得られた腎移植レシピエント、医療者を対象に、腎移植レシピエントに望まれる現実的で効果的な精神的支援を有するappの構築および前向き臨床研究による効果の検証を継続する。
具体的には、精神面を支える機能として、腎移植レシピエントの精神面へ働きかけるメッセージの内容を腎移植レシピエントや医療者からの聞き取り調査から明らかにする。形式としては、移植腎への愛着が持てることを重要視し、愛着の持てるキャラクターやメッセージを患者が登録した名前で関連付けられるようにしたり、移植腎の特性である移植からの年月日や季節に合わせた語り掛けを設定するといった工夫を行う。腎移植レシピエントや医療者への聞き取り調査後、試作版の運用・修正点の検討を行う。さらにこれらを繰り返し行い、精神面を支える機能を追加したappをリリースする。
評価については介入前、介入後の受診時にappの効果を検証するための調査を行う。調査項目は、患者情報、appの利用状況・入力情報、信頼性・妥当性が確認された各評価尺度等を使用する。
これらの結果から、appの効果を検証するために統計手法としてウィルコクソンの符号順位検定を用いる。

次年度使用額が生じた理由

(理由):今年度は、app試作版の運用・修正点の検討を行い、これらを繰り返す段階であった為。また、2022年度においては、学会への参加が少なく、調査研究旅費の使用が想定よりも少なかった為。
(使用計画):appの機能について、本研究に必要不可欠な精神面に働きかける機能を追加し、継続的に運用するためにはapp開発費およびサーバーの維持費が必要である。なお、app開発費用およびサーバー使用費用についてはappの開発・運用の助言を受ける株式会社バリュープロモーションおよび本学の臨床研究開発センターの助言により決定している。
また、旅費については、今回の研究データを、国内外の学会、特に移植医療の専門家が参加する学会で積極的に発表するために必要である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] アプリによる腎移植後レシピエント支援の検討2023

    • 著者名/発表者名
      田村 裕子, 渡部 小央里, 浦和 愛子, 佐々木 典子, 服部 文菜, 坂本 竜太, 富家 淳, 西川 晃平
    • 学会等名
      第56回日本臨床腎移植学会
  • [学会発表] アプリの活用によりアドヒアランスが向上した腎移植レシピエントの1例2022

    • 著者名/発表者名
      田村裕子, 西川晃平, 浦和愛子, 渡部小央里, 佐々木典子, 服部文菜, 坂本竜太, 富家淳, 片岡三佳
    • 学会等名
      第37回腎移植・血管外科研究会

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公開日: 2023-12-25  

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