研究課題/領域番号 |
22K10816
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
菊池 奈津 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (90894808)
|
研究分担者 |
西池 絵衣子 兵庫県立大学, 看護学部, 講師 (90559527)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 精神保健教育 / メンタルヘルス / 高校教育 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高等学校における精神保健教育の現状(精神保健教育に対する認識や認識に影響する要因)を明らかにし、教員のニーズに合った最適な介入や具体的な支援等、教員に対する支援モデルを検討することである。研究の意義として、高等学校の教員への適切な介入が行われることで、教員の準備性が高まり、生徒への適切な教育につなげていくことが出来るのではないかと考える。また、教員が児童青年期にある生徒に対して適切な精神保健教育を行うことで、生徒が適切な精神保健に関する知識を身に付け、セルフケア能力が高まることで精神疾患を抱えることを予防し、精神疾患の早期発見や早期対応、さらには、精神疾患に対する差別や偏見の減少につながると考える。 令和4年度~令和6年度の3年をかけて混合研究法(アンケート調査、インタビュー) を行うこととし、研究を開始した。 令和5年7月、委託業者に依頼し、高等学校に勤務する教員免許を持った教員を対象にWEBアンケートを実施した。調査項目は、基本情報、精神保健教育に関する認識(精神疾患の特徴・予防・回復)、生徒とのかかわり、精神保健教育の体制、精神保健教育に対する考えであり、分析はSPSS(Statistics29)を用いて記述統計及び多変量解析を行った。 男性330人、女性70名より回答を得た。回答者の51%は精神疾患を抱える生徒の支援経験があり、知識不足や家族・周囲の理解不足、生徒との関わり方に困ることもあったが学びや成長にも繋がっていた。教員は多くの生徒や業務を抱える中で精神疾患を抱える生徒に向き合うことが求められ、物理的にも精神的にも負担が大きいと感じていた。今後の支援の可能性として教員への支援(教育・相談・連携)、生徒への支援、専門家との体制作りが考えられた。 現在、WEBアンケートの結果を踏まえたグループインタビューの実施に向けて準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画当初、令和4年度の研究方法として紙媒体でのアンケート調査を計画していたが、WEBを用いたアンケート調査に切り替え倫理審査を通し、承認された。その後、委託業者に実際の見積もりを行ったところ令和4年度の予算を超えてしまい依頼ができなかった。そのため、令和4年度の予算を次年度に繰り越し、令和5年度の予算が使用できるようになった後に委託業者にWEBアンケート調査の開始を依頼した。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは、令和5年度に実施したWEBアンケート調査の分析(SPSSを用いての記述統計及び多変量解析)および考察を深める。教員の精神保健教育に対する認識やそれらの認識に影響する要因、教員のニーズ等、高等学校における精神保健教育の現状を明らかにし、教員のニーズに合った最適な介入や具体的な支援を検討し、令和6年7月に開催される第21回日本うつ病学会総会にてポスター発表を行う。 また、WEBアンケート調査の結果および考察をもとにインタビューガイドを作成し、高等学校に勤務する教員免許を持った教員(5~6名)を対象にグループインタビューを実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究開始当初は、令和4年度にアンケート調査を行い、令和5年度にインタビュー調査を行う予定であったが、WEBアンケート調査の実施が1年遅れたため、インタビュー調査も伴って遅れ、令和6年度にグループインタビューで使用する研究費が必要となったため繰り越すこととなった。 令和6年度は、研究や研究費に関して研究分担者との相談および調整を適宜行い、グループインタビューに向けて研究費の使用を検討していく。
|