研究課題
プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ)または免疫調節薬(レナリドミド)を含む化学療法レジメンで治療を受ける多発性骨髄腫患者(初発も再発も含める)を対象に、経時的に自覚的および客観的味覚検査とQOL検査を行い、(1)味覚異常の出現頻度、(2)味覚障害を発症しやすい患者背景、(3)味覚障害の種類、(4)味覚障害の出現時期、(5)QOLへの影響を明らかにする目的で研究を計画した。第一研究では、化学療法を受けた多発性骨髄腫患者で味覚障害を呈する頻度を知ることが、第二研究で行う前向き研究での対象者数設定に重要と考え、後ろ向き研究としてカルテ検索で味覚異常を呈する患者の頻度ならびに異常を呈した患者の特徴を検討することを計画し、三重大学医学部附属病院医学系研究倫理審査委員会に倫理申請を行い、6月に承認された。第二研究では、多発性骨髄腫患者が化学療法の実施に伴い感じる味覚とQOLの変化を経時的に評価する前向き研究を計画した。まず、唾液量、口腔内の状態、味覚テストなどの客観的情報を調査する検査手技の確立と評価基準を統一した後にそれぞれの検査手順書を作成し、三重大学医学部附属病院医学系研究倫理審査委員会に倫理申請を行った。また、三重県内で血液内科を有する関連医療機関(4施設)の責任者に本研究の概要を説明して参加協力を依頼し、倫理申請を進めてもらった。2022年8月に当院と2つの関連施設で承認が得られたが、残る2つの施設では倫理審査が遅れ、漸く11月に承認が得られた。承認後から研究が開始となったが、2023年3月末現在、3名の登録しか得られていない。また、当初予定していた客観的味覚検査に使用するTaste Diskの販売が中断されていることから、他の検査方法を検討中である。
3: やや遅れている
後ろ向き研究は過去10年間の化学療法を受けた多発性骨髄腫のデータ収集を終え、解析を行っている。一方、前向き研究は進行が遅れている。当初、1年間で30名程度の患者の登録を予定していたが、(1)初診の多発性骨髄腫患者が少ないこと、(2)新規薬を用いた治療の効果がよいことから治療法変更例が少ないこと、(3)研究開始が5施設のうち3施設は8月から、2施設は11月以降の開始となったことから、2023年3月末時点で3名の登録に終わった。
前向き研究の参加者のリクルートを定期的に関連施設にお願いするとともに、研究機関を1施設増やすことにした。同施設の研究倫理審査の承認はすでに受けており、2023年4月中に1名の参加をいただいた。
客観的味覚検査を実施するための"Taste Disk"が今年度発売中止になったために、購入できませんでした。次年度に販売再開となれば購入したいと考えています。もし、しばらく販売が再開されないようであれば、別の検査キットの購入を検討します。また、新型コロナウイルス感染拡大があり、学会にも参加できていませんでしたが、次年度は、研究に関連する様々な情報を取得すべく、学会に参加する予定です。後ろ向き研究の論文発表及び投稿を予定しています。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Cell Rep.
巻: 40 ページ: 111260
10.1016/j.celrep.2022.111260.