研究課題/領域番号 |
22K10841
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
山田 春奈 佐賀大学, 医学部, 助教 (60911211)
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研究分担者 |
古賀 明美 佐賀大学, 医学部, 教授 (00336140)
阪本 雄一郎 佐賀大学, 医学部, 教授 (20366678)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | プレホスピタルケア / PTSD / 対処 |
研究実績の概要 |
2023年度は、量的研究と質的研究について下記の計画を実施した。 まず、プレホスピタルケア(PC)に従事する看護師が身体的および精神的に強いストレスとなる出来事(心的外傷)を経験した後の心的外傷後ストレス症候群(PTSD)および精神健康状態の実態とそれらの予測因子を明らかにすることを目的とし、全国の救命救急センターにおいてPCに従事する看護師を対象に質問紙調査を行った。回答を得た156名のうち、心的外傷の経験があった82名を分析対象とした。対象者は、平均年齢40.1(SD=6.6)歳、女性64.6%であった。IES-R(PTSD評価尺度)の平均は8.7(SD=10.7)点で、PTSDハイリスク者は6名(7.3%)であった。PTSDハイリスク者の予測因子は、“医師や同僚などから暴言や非援助的な態度を受けた”(オッズ比29.1、95%信頼区間1.61-529.71)であった。GHQ12(精神健康調査票)の平均は3.2(SD=2.9)点で、精神健康不良者は35名(42.7%)であった。精神健康不良者の予測因子は、“自分自身の能力の不足によって十分な救命活動ができなかった”(オッズ比10.55、95%信頼区間1.20-92.40)であった。有意差を認めなかったが、PTSDハイリスク者の83.3%、精神健康不良者の46.8%は周囲からの支援を受けていないと回答した。本結果を学術集会で発表するため準備している。 次に心的外傷後の対処を質的に分析することを目的とし、質問紙調査に回答した者のうち8名にインタビュー調査を行った。インタビューデータの逐語録を作成し、逐語録を精読し、心的外傷後の対処を含む箇所を意味のあるまとまりで抜き出した。現在は、共通性・相違性を比較検討しながら類似するものをまとめ、心的外傷後の対処の構成要素を抽出している途中段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画的に進行し、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査について、データの飽和が成し遂げられるまで調査を継続する。調査終了後は、共通性・相違性を比較検討しながら類似するものをまとめ、心的外傷後の対処の構成要素を抽出する。 量的研究と質的研究で得られた結果について論文執筆を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査でデータが飽和に達するまでインタビュー調査を行うことを予定しており、インタビューのための交通費や通信費、データの文字起しを業者に委託するための費用として計上している。 また、量的研究・質的研究ともに次年度学術集会での発表を予定しており旅費として計上する。
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