研究課題/領域番号 |
22K10871
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
江口 のぞみ 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (00438269)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 性別違和 / 生活の質 / 精神保健 |
研究実績の概要 |
近年、性別違和をもち、性別違和を緩和するための治療を希望する当事者が増加している。性別違和の治療として、性別違和によって生じる問題を模索するとともに苦痛を緩和する方法を見出すための精神療法、性別違和を緩和するために身体を女性化あるいは男性化するためのホルモン療法、二次性徴および/あるいは一次性徴を変えるための手術療法がある。性別違和の治療には多様な選択肢があるものの、当事者が治療を選択するためのエビデンスが不足している。本研究では、当事者を対象に面接および質問紙調査を実施し、性別違和の治療が当事者の生活の質および精神的健康に与える影響を明らかにすることを目的としている。 初年度の研究プロセスとして、フィールドの確保を目的に、専門医療機関や当事者団体など候補となる調査機関の専門家と交渉し、研究参加者(性別違和の治療を希望し、治療を開始する前の当事者)の選定と紹介、調査場所の提供について協力を依頼した。現時点では、1ヶ所の専門医療機関の内諾を得ているところである。また、GID(性同一性障害)学会の研究大会・総会に出席し、精神科、形成外科、泌尿器科等多領域にわたる医学研究、看護学領域における研究、当事者主体の研究成果、性別違和に係る法律上の見解等から最新の情報を得た。また、多様なバックグラウンドをもつ専門家との議論、情報交換を行う過程で、今後の研究を構成するにあたり参考となる多くの知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度の研究プロセスとして、フィールドの確保を行い、専門医療機関や当事者団体など候補となる調査機関に依頼し、研究参加者(性別違和の治療を希望し、治療を開始する前の当事者)の選定と紹介、調査場所の提供について協力を依頼することを予定していた。実現可能な範囲で、規模や地域の異なる、複数の調査機関に協力を依頼する予定であったが、COVID-19感染拡大の影響で、フィールドの確保に難航した。現時点では、1ヶ所の医療機関に依頼し、内諾を得ているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はパイロット調査を実施する。フィールドとなる専門医療機関に依頼し、通院する当事者複数名に面接または質問紙調査を行う。質問内容や所要時間が適切かどうかについてコメントを得る。その結果をもとに研究デザインを再検討する。性別違和の治療を希望する当事者がそれぞれのジェンダー・アイデンティティに見合った治療を選択する際に、また医療者をはじめとする支援者が当事者の治療選択を支援する際に参考となる一つのエビデンスとして貢献できることを目標として研究を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は当初の計画通りに研究が実施できず、人件費・謝金等の研究経費発生しなかったため、次年度使用額が生じた。今年度は適切に執行できるように、研究参加者への面接または質問紙調査を実施する。また、論文を投稿し、研究成果を発表する。
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