研究課題/領域番号 |
22K10876
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
菊池 佑弥 岩手医科大学, 看護学部, 助教 (80935007)
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研究分担者 |
野里 同 岩手医科大学, 看護学部, 准教授 (10807225)
舘向 真紀 岩手医科大学, 看護学部, 特任講師 (20805428)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 昇圧剤 / 血管外漏出 / 皮膚傷害 |
研究実績の概要 |
昇圧剤が血管外に漏出した際は薬理作用から推測されたケアが行われているが、そのエビデンスは確立されていない。エビデンスに基づくケアは、患者のQOLの向上に期待ができると考える。 令和5年度は昇圧剤の血管漏出への罨法の効果に関する実証研究を行った。使用動物は生後10週齢のCrj:Wistar系雄性ラット(日本クレア)を選択した。使用薬剤は、皮膚傷害の発生機序の解明で使用したドブタミン塩酸塩、ドパミン塩酸塩、アドレナリン、ノルアドレナリンの4薬剤を選択した。動物実験用吸入麻酔器を用いてラットに吸入麻酔液を吸入させ、麻酔導入後にラットの背部をバリカンで剃毛後、背部の皮膚をつまみ上げ、26Gの注射針を挿入し、各薬剤を0.3ml皮下に注射し、疑似的に血管外漏出を作製したしたのち、薬剤を投与した部位にアイシングコールド/ホットパックを用いて罨法を行った。温度の調節は、ラットの皮膚の表面にデジタル温度計のセンサーを貼付し、冷罨法は21±1℃、温罨法は41±1℃で30分維持するよう罨法を行った。血管外漏出より1、3および5日目肉眼的観察と組織学的検索を行った。 結果として、肉眼的観察ではドブタミン塩酸塩では冷罨法、温罨法ともに潰瘍形成を認め、ドパミン塩酸塩では温罨法でのみ潰瘍を認めた。各薬剤ともに組織学的検索により、明らかに血管が収縮している所見は認められず、どの薬剤においても血栓の形成が認められた。このことから、昇圧剤が血管外に漏出した際の皮膚傷害は血管収縮作用の影響は少ない可能性が示唆され、また、血栓形成による虚血性傷害が影響していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ、当初の予定通り研究を進めることができているため、今後も計画通り進行していく。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は当初の予定通り、昇圧剤の血管外漏出へのステロイド軟こうの効果に関する実証研究を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前倒し申請をしており、その分の差額が生じている。当初の予定より研究動物の価格や資材の価格が高騰しており、調整しながら計画的に使用していく。
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