研究課題/領域番号 |
22K10881
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
佐々木 晶子 昭和大学, 医学部, 講師 (10398688)
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研究分担者 |
中村 清吾 昭和大学, 医学部, 特任教授 (70439511)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 化学療法末梢性神経障害(C / 抗癌剤副作用 / 対処療法 |
研究実績の概要 |
本研究はハンドセラピー施術と冷却法の併用療法が「しびれ改善効果を持つ支持療法」であることを明らかにする。乳がん患者が治療のために使用するタキサン系抗がん剤は、微小管を傷つけるため化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)であるしびれを引き起こす。総投与量が700mg/m2 以上になると、しびれ頻度は高くなる。しびれを軽減させる薬剤は牛車腎気丸、ビタミンEやグルタミン、抗うつ剤などが処方されるが完全にしびれを改善することは難しい。このため対処療法の確立が求められている。これまでの研究は改善・予防に分けて研究されてきたが、がん患者に対するアピランスケアの手引き(2016年)では推奨グレードがC1b(科学的根拠に欠けるが行うことを否定しない)である。そこで本研究では手指冷却法とハンドセラピー施術を組み合わせた支持療法をおこない、改善効果を明らかにする。この支持療法を確立することで、しびれを抱える患者の苦しみが軽減されることが期待できる。化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)であるしびれの支持療法の確立が必要である。乳がん患者の治療薬である抗がん剤は悪性腫瘍を退治すると同時に正常な神経細胞も傷つけ、しびれを発症させる。しびれにより患者のQOLは著しく低下し心身ともに弱まり治療の継続が難しくなる。私たちは今までに新しく考案した手指マッサージのハンドセラピー施術がしびれを有意に改善することを明らかにした。施術の課題は、しびれ改善に限界があることである。その解決策としてしびれ予防法とハンドセラピー施術の併用を新たに考案した。予防法は手指冷却法を使用する。予防法とハンドセラピー施術を組み合わせることで、さらなるしびれの改善効果が得られると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳がん患者が治療のために使用するタキサン系抗がん剤は、化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN)を引き起こす。今まで、本施設ではタキサン系抗がん剤で治療を受ける乳がん患者に対し、手指のしびれを出現しにくくするため希望者に保冷剤を貸し出して血管を収縮する手指冷却をおこなっていた。点滴を受ける1時間30分の間、15分ごとに保冷剤を合計6回取り替えるが、片方の手は点滴で固定されているため保冷剤を取り替える作業が難しく、保冷剤の固定方法が課題であった。、2021年10月、医工連携の昭和大学臨床ニーズマッチング会で「保冷剤の固定方法のデバイス」として課題を挙げて、保冷剤が入る薄手の生地で冷却手袋をフットマーク株式会社とともに着手した。冷却法を希望する患者からアンケートを取りながら改良を重ね2023年1月冷却手袋を作成した。CIPNしびれ予防の冷却手袋装着中は、治療中に患者が眠ってしまっても保冷剤が手指から離れることなく保冷効果を保つことができるため手指の血管を収縮し、しびれ予防効果が期待できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、保冷剤の固定方法のデバイスである冷却手袋をしびれ対策として活用できるか、また、実際に使用した時の手袋の使用感や使用方法などをアンケート採取していく。保冷効果に対しては手袋内部で冷える温度などを時間ごとに調べる。実際に使用した患者のしびれ効果に対しては保冷手袋を手渡す際にしびれ度合いを確認する。治療以外の時間は血流やリンパの流れを良くすることを目的にハンドセラピー施術をおこなう。ご自身でおこなうことができるようにセルフハンドセラピーの方法をお教えする。今後はしびれにより日常生活に影響が出ないよう副反応対策を考え提案していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度、予算として計上された分に余剰金が生じたのはコロナ渦のため想定より研究課題のデータ収集が遅れ、それに伴いデータ解析も遅れたため次年度使用額が生じた。次年度の使用計画は冷却法に伴う試薬の購入などに使う予定である。
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