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2022 年度 実施状況報告書

高齢糖尿病患者のフットケア自立支援に関する介入方法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K10892
研究機関国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

研究代表者

サブレ森田 さゆり  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 副看護師長 (40748802)

研究分担者 徳田 治彦  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 副院長 (10397325)
前田 圭介  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 病院, 医長 (50775179)
荒井 秀典  国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 理事長 (60232021)
安東 由佳子  名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (50314745)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワードフットケア / 高齢糖尿病 / 介入 / セルフケア
研究実績の概要

糖尿病性足病変は、糖尿病合併症の1つで「神経学的異常と様々な程度の末梢神経障害を伴う下肢の感染、潰瘍形成、または深部の破壊」と定義されており、壊疽、皮膚潰瘍、水泡症などがある。また、足潰瘍から壊疽の状態に達し、最終的に足切断に至る可能性もあり、QOLに影響することが明らかとなっている。足潰瘍の進行の最も重要な要因は末梢神経障害と小さな外傷と足の変形であり、多くの足病変はフットケア(以下FC)自己管理によって予防可能である。
日本では、2008年に糖尿病性足病変ハイリスク要因を有する患者に対し看護師が糖尿病性足病変に対する指導を行った場合、糖尿病合併症管理料が算定できるようになった。しかし、FCの方法を見せて教えても1回のみでは、FC(足を洗う、足趾間まで拭く、保湿剤をつける、足をチェックするなどの)行動が持続できないとの報告もあり、さらに、Rijkenらによる研究では、定期的で持続的な個別介入は1回のみのFCよりも指導効果があると報告している。高齢糖尿病患者は、指導しても指導内容が定着しないことが課題であり、加齢による身体能力の低下によって「爪が切れない」「足に手が届かない」といった事が多くみられる。我々のこれまでの研究により、高齢糖尿病患者の足病変と加齢関連項目および糖尿病関連項目との関連を検討し、対象者562名中246名が何らかの足病変を有していることが明らかとなった。臨床現場において神経症・腎症・網膜症など合併症には注意を施しているが、高齢糖尿病患者の足への支援は浸透していない。
本研究の学術的な問いは、高齢糖尿病患者が足病変発症予防のために日々FCをするための有効な手段は何かという点である。「FCができない人の特徴」「足病変が改善しない人の特徴」を明らかにし、それらの特徴に必要な内容を取り込んだプログラムを作成・導入をすることで指導介入による効果を検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

糖尿病フットケア外来に通院する65歳以上の高齢糖尿病患者を対象とし、足病変の有無の評価、患者背景と糖尿病関連項目についての情報をカルテから収集した。また、足病変の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。
対象者201名のうち、足病変ありが126名(62.7%) 、足病変なしが75名(37.3%)であった。2群間で有意差のあった項目は、性別・痛みの有無・MMSE得点・JFCCS得点・合併症(網膜症、腎症、神経症)の有無・インスリンの使用・Hb A1c値・糖尿病治療期間・フットケアの管理状況である(p<0.05)。さらに足病変の有無を従属変数とし、年齢と性で調整したロジスティック回帰分析においては、潜在的交絡因子を調整してもフットケアの管理状況(Odd:10.523,95%CI:4.105-26.975)、痛みの有無(Odd:0.373,95CI:0.147-0.947)男性(Odd:2.318,95%CI:1.008-5.330)が影響する変数として捉えられた。
足病変の改善がない高齢糖尿病患者は、改善がある患者に比べると、男性がより多く、痛みを有している。フットケアの管理が良好であると足病変は有意に改善した。糖尿病患者の足の評価においては、フットケアの管理状況についての評価が重要である。
以上の結果から、高齢糖尿病患者の1年間の足病変の改善には、フットケアの管理状況と男性、痛みが関連していることが確認できた。

今後の研究の推進方策

今後は「フットケアができない人の特徴」「足病変が改善しない人の特徴」の結果から、介入プログラムの作成を予定している。また、得られた結果を現在執筆中であるため、本年度の論文投稿についても予定している。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルスの影響により本年度は海外で開催される学会への出席し成果を発表することが困難であったため、発表を次年度のIAGG2023に先送りにし、発表のための参加費と翻訳代に使用をする計画である。

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公開日: 2023-12-25  

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