研究課題/領域番号 |
22K10898
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
坂本 真優 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50895711)
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研究分担者 |
河村 奈美子 (大西) 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (50344560)
尾關 祐二 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90303768)
進藤 ゆかり 日本医療大学, 保健医療学部, 教授 (70433141)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 訪問看護師 / 精神疾患 / 看護 |
研究実績の概要 |
2023年度は、「訪問看護師が捉える精神看護実践の難しさ:現象学的方法による解明」をテーマに質的研究を行った。本研究の目的は、精神科病棟における勤務経験がなく、精神疾患を有する利用者を看護する訪問看護師の経験を明らかにすることである。研究対象者として、5年以上訪問看護師として従事している、精神科病棟における勤務経験を有さない、精神疾患を有する利用者の訪問機会を有するという3つの選定条件に当てはまる6名の訪問看護師に協力を得た。データは半構造化インタビューにより収集し、Colaizzi(1978)の現象学的方法の手順に則り分析した。インタビューにより、134個の意味単位を抽出し、12個のサブテーマ、[利用者の理解の不足感]、[情報伝達力の不足感]、[訪問の意義の不明瞭感]、[利用者と関係構築の不良感]、[知識・技術の不足感]という5つのテーマが抽出された。この結果から、精神科病棟に勤務経験を有さない訪問看護師の精神疾患を有する利用者を看護する経験の構造について検討された。訪問看護師は、誠実さと責任を持ち精神疾患を有する利用者とその家族に関わり続けようとするが、利用者の理解も関係構築も上手くいかない感覚を強く抱いており、その理由を自分に知識や技術がないからだと抱え続けていることについて考えられた。そして、自分の置かれている状況の困難さは誰にもわかってもらえないと同僚にも心境を打ち明けられず、自分が訪問をする意義も見えにくくなった中で、閉鎖的な関係が構築されることについて伺えた。自分の意見や現状の開示の行いにくさは訪問看護師の孤立感を強め、また閉鎖的関係は巻き込まれの状態に繋がる危険性について推測された。精神疾患を有する利用者の支援を継続するために、1回の訪問時点ではなく長期間の状態における評価、また自らの経験について十分に語られる機会を創造する重要性について考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
精神科病棟に勤務経験を有する訪問看護師の精神看護実践の難しさについて質的調査を予定していたが、研究対象者の選定に時間を要している。申請者の運営する学習会から参加者を募る予定にしているため、着手していく。 また、学部学生や修士課程学生の指導に時間を有する事態が生じた。学部学生の卒業研究や修士課程学生の倫理審査受審に当たり、研究責任者自身も研究・指導経験が浅く指導力不足のため、教授に指導を得ながら実施をしている。加えて、修士課程学生が増え、研究内容の理解や研究手法の学習、指導等に例年よりも時間を要した。そのため、本研究の実施・着手が困難となる期間が生じた。これらの理由から、研究の進捗状況に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、「1)精神疾患を持つまたはメンタルヘルスケアを必要とするクライエントに対する訪問看護師の困難やニーズの抽出」については、「精神科病棟に勤務経験を有する訪問看護師の精神看護実践の難しさ」をテーマに、精神科病棟に勤務経験を持ち現在訪問看護師として精神疾患を有する利用者の看護支援に従事している訪問看護師を対象とした質的調査を行う。 「2)在宅医療に携わる多職種のスタッフ(医師、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士等)の訪問看護との連携上のニーズの抽出」については、倫理審査受審に向け準備を開始する。看護師以外の多職種スタッフにインタビュー調査を行い、多職種の視点から精神疾患を有する利用者の地域移行における課題や退院支援の困難について明らかにする。 研究計画を遂行する上での課題について、研究対象者の選定やデータ収集に時間を有する等の事態が生じる可能性は考えらえる。研究分担者が企画、研究者が運営に携わる学習会参加者を通じて紹介を得る等、協力者と連携を図りながら遂行する。加えて、研究分担者より多職種の研究参加依頼を募る等連携を図り、確実なリクルートを行う。 学部生、大学院生の指導については、教授に相談・報告を密に行い指導を受けながら実施し、研究時間の確保等計画的に研究を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度はインタビュー調査などの実施をできず、謝金・交通費が生じなかった。物品の購入については、データ保存用のメモリーの購入にとどまった。旅費について、学会に申請者と研究分担者の2名で参加することを予定していたが、都合により申請者1名の参加となったため、低額の使用となった。 2024年度は、インタビュー調査を多く予定しているため、謝礼と調査場所に赴くための交通費として使用する。尚、Covid-19感染拡大予防対策も含め場合によってはZoom等のオンライン機器を使用したインタビュー実施も検討する。調査結果は、冬季に開催される看護科学学会における公表を予定している。 加えて、結果分析、論文執筆のため、コピー用紙、インクトナー代金、英文校正費用としての物品費使用を検討している。
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