研究課題/領域番号 |
22K10910
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
佐藤 佳子 獨協医科大学, 看護学部, 准教授 (40458394)
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研究分担者 |
岡 美智代 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (10312729)
剱持 貴史 群馬医療福祉大学, 看護学部, 講師 (20850085)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | データの分析 / 分析概念の明確化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①糖尿病患者に「聞き書き」介入を行いながら、患者の自己の価値観の変化を明らかにする。[2022・2023年度]②患者の語りの内容から、自己の価値観に影響する要因を明らかにする[2024年度]ことである。 今年度の実施計画では、データ収集の2年目にあたる。しかし、昨年度、収集したデータを見直した際に、分析視点の不十分さが明らかとなった。 本研究の独自性と創造性は、①糖尿病患者は、自己管理に取り組んでいるが、社会が「糖尿病」に抱いているネガティブなイメージや偏見を感じ取ることで、自己の価値観の低下につながる。②「聴く」ことは、対象理解の第一歩であり、研究者が多方面から意義を指摘している。その語りを文字化し、語り手が大切にしている物を写真として入れて冊子にするため、語り手の世界を可視化することができる。このことによって、「病いと共に自分らしく生きる」自分の価値を再認識する機会として寄与すると考える。③「聞き書き」は、「聞く(聴く)・話す・語る・書く」要素を含み、看護援助と重なる部分がある。しかし、看護においては患者の語りを可視化したものは少なく、新たな援助方法の一つとして活用が期待できる。④ライフストーリーを分析することで、糖尿病患者の自己管理における障壁を明らかにする一助となる。の4点であるが、2022年度に収集したデータでは、患者が語った内容の中に過去の自分をネガティブに振り返り、「自分らしく生きる」というポジティブな「生」を語らなかった者もいた。そのため、2023年度は「自分らしさ」の概念を検討し、整理に取り組んだ。 2024年度以降、その整理を基に、データを分析し本研究の課題を明らかにすることを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度に引き続き、2023年度も「聞き書き」本を用いた介入研究を、2型糖尿病患者20名程度(診断されて5年以上が経過している人)の患者に対して行う予定であった。しかし、2022年度に収集したデータを見ると「自分らしく生きる」というポジティブな「生」を語らなかった者もいた。そのため、「自分らしさ」の概念を検討し、整理に取り組んだため、当初の研究計画よりも遅れてしまっている。 また、新型コロナウイルス感染症は感染症法上5類に分類されたが、看護学生の看護学実習は病院や施設で行われ、看護学生が感染の媒介とならないための感染予防対策は必須であった。その実習調整の役割を中心的に担っていたため、5類変更に伴う対応を病院・施設へ説明・調整をする必要があった。 さらに、職場内において複数名の同僚で人間関係のストレスが原因と思われる体調不良が生じた。そのため、業務量や役割の調整・配慮が必要となり、予定外の業務への従事を迫られ、時間を調整することが難しかった。それに加えて、自分自身も新型コロナウイルス感染症に感染し、感染後の体調不良により物事に集中して取り組めず、予定通りに進められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、収集した「語り」のデータの逐語録を作成し、自己の価値観に影響する語りの内容を質的帰納的に分析する計画である。 ①2023年度に検討している「自分らしさ」の概念をまとめる。②当初2023年度に計画していた「聞き書き」本を用いた介入を行いデータ収集を継続し、対象者数を追加する予定である。 通常業務の業務量調整があった場合でも、研究分担者と相談や連携をして進めていけるようにスケジュールを調整する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度にも予定していた「聞き書き」本を用いた調査を一時停止し、2022年度に収集したデータを基に「自分らしさ」の概念の整理に取り組んだため、当初の研究計画よりも遅れてしまった。 さらに、業務の調整・対応が必要があったり、自分自身が新型コロナウイルス感染症罹患後に体調不良が生じたため、当初の計画よりも遅れてしまったことが理由である。 それらより、研究計画を見直し、研究を円滑に進めるために必要なものとして請求したい。なお、データを収集する際の交通費およびデータ分析にあたってデータの入力を依頼するため人件費や、研究結果をまとめ発表するための費用と活用したい。
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