研究実績の概要 |
本研究は,育児支援場面として仮想環境型教材を進化させ,リアルにその状態を体験でき,双方向性に対応できる教材を開発し実証することである. 本年度は,昨年の文献検討の結果から教育的視点を鑑みて臨床推論を高めるシナリオや場面設定環境を検討した.まず母性看護学・助産学を中心とした育児場面の公開されている教科書や資料から重点項目を洗い出し一般化されたシナリオになるように配慮した.特に赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援ガイドベーシック・コースの「直接授乳観察用紙」の内容をシナリオに含めた.また母性看護学教育者から授乳場面で学生に学ばせたいことをインタビューし必要な要素を抽出し,実際の病院での褥婦に対する助産師の指導場面を参加観察し,同様に必要な要素を抽出した. さらに臨床推論はLucille Joelの臨床判断モデルとLasater Kの臨床判断ルーブリックを参考に産褥早期の授乳に焦点を当てシナリオを作成した. VRシステムは,アセスメント能力が強化できることを目標に作成し,ケアにおいて移動が可能であったり重量が感じられたりというできるだけリアル感を味わえるような双方向性に対応できるシステムを作成中である.VRシステムを完成させる予定であったが,既存のシステムの継続に不具合が生じたため調整中である.また育児場面の微細な変化に対応したモデル作成を目指しているため時間を要している. 次年度は,VRシステムを完成させ次第早々に倫理審査を受け,プレテストを実施し修正の上実験を開始する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度は, VRシステムの作成にあたり既存のシステムを継続しようとしたが不具合が生じたこともあり遅延となった.2024年度はVRシステムのコンテンツ作成のため備品や消耗品の予算の執行を予定している. また研究打ち合わせのため旅費・会議費用を当てていたが計画が遅延したため,次年度に繰り越す. さらに公表可能な結果においては学会発表につなげ,学会に参加することで新しい知見を得る費用とする.
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