研究課題/領域番号 |
22K10950
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
小林 康江 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70264843)
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研究分担者 |
佐々木 美果 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (80620062)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 助産師 / 継続ケア / 実践能力 / 自立 |
研究実績の概要 |
本研究は、「助産師主導の継続ケア」を実践している助産師が獲得している能力は何か、その能力はどのように獲得されるのかを記述するものである。今年度は、昨年度の研究協力者に対して引き続きインタビューを行った。対象者は、2年目3名、3年目1名の合計4名である。インタビューは、個別に10月、3月の2回、オンラインで行い「これまでの期間で、『実践できるようになった』、『わかるようになったと思うこと』」に焦点をあてた。2年目3名のインタビュー時間は、1.6か月経過した1回目32~39分、平均35分、2年目が終了する2回目は31~33分、平均32.3分であった。3年目は、2回目のインタビューはライフイベントに伴い延期となっている。 2年目3名の1.6か月が経過した時点では、正常分娩に関して、経過の判断、予測ができるようになり、正常からの逸脱に気づき、それを医師に自ら報告し、自立した実践ができる状態になっていた。また、2年目は周囲の目が離れることを自覚し、周囲の助産師や医師に相談したり、評価をうけたりを自発的に実践力の向上を目指していた。この時期には、ルーチンの妊婦健診は実施でき、到達度に個人差があるものの超音波診断の経験を積み重ねていた。2年目終了時には、正常分娩の管理を基盤とした麻酔管理が必要な分娩の管理や軽度のハイリスク産婦の分娩管理を実践していた。継続ケアの実践では、2年目から初診から継続して担当する継続事例を受け持ち、この時期には、継続事例の妊婦健診、妊娠時の家庭訪問、分娩、産褥までの実践を通して、妊娠経過に伴う心身の変化、家族との調整や育児の準備の実際を学び、妊産婦の背景や経過から予測し、ケアの実践、ケアの評価という妊娠・分娩・産褥という経過に伴う助産診断ができるようになっていた。3年目の10月のインタビューでは、安全管理の意識と行動の意識が徹底されるようになっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ほぼ計画通りにデータは収集できている。縦断的にインタビューデータを行い、データを収集するなかで、分析方法の示唆を得るため、年度末に質的データ分析法であるSCATの研修会に参加した。その結果、1回のインタビューデータの分析を再度行い理論記述を行うこととし、現在は再度昨年度収集したインタビューデータの分析を行っている状況である。また、3年目の2回目のインタビューは延期となっているが、時期をみながらインタビューの予定を組むことになっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力施設は、新人期から3年間でローリスク妊産婦に対する妊婦健診、分娩管理、産後の母子までトータルケアができる助産師を育成する教育プログラムを展開している。1年目からインタビューを行っている3名が2024年度は3年目に入るため、引き続き3名のインタビューとこれまでの時期別に行っている分析を3年間という経過で分析する。そのため分析は、比較的小規模のデータに適応可能である質的分析方法SCATを用いる。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビューと学会参加にかかる交通費が不要となったこと。。データ分析を抽象度を上げることでカテゴリー化を行うNvivoを使わず、SCATで行うこととし、データ分析の準備と整理を自ら実施したため、人件費が不要となった。SCATの研修会は、分担研究者となっている科研で計画し実施したため謝金が生じなかった。
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