研究実績の概要 |
2022年度の研究では、小児期から現在も小児慢性疾患のある者、および小児期に慢性疾患を経験した者における、小児慢性疾患に伴うポジティブメンタルヘルスにつながる要因について、質的に検討することを目的とした。 小児期に小児慢性疾患を患った満19歳~22歳の大学生10名に対して、半構造化インタビューを1回実施した。調査項目は、基本属性、小児期の疾患体験、小児期に実施していたコーピング、小児慢性疾患に伴う生活におけるウェルビーイングであった。データ分析は、録音した音声データを逐語録化し、NVivoを用いてテーマ分析を実施した。 対象者が小児期に経験した慢性疾患は、小児がん、アレルギー疾患、難病指定疾患であった。小児慢性疾患に伴うポジティブメンタルヘルスにつながる要因は、393コードから、7テーマ(positive coping, proactive coping, negative coping, eudaimonia, hedonia, independence, and awareness)、21カテゴリー、70サブカテゴリーが抽出された。テーマティックマップでは、2領域(protective factors and well-being)、3区分(individual, family, and community/society)が提示された。 ウェルビーイングには人生の意味、保護要因にはストレス対処が含まれていた。慢性疾患の子どもにとって、地域・社会で生活を営むうえで楽観性が重要となるだけでなく、医療者は共生志向を強化するための対処方略を見つけるためのサポートが必要である。遊びや学習など、子どもの生活の中の些細なこと・小さなことを大切にする支援が重要である。
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