研究課題/領域番号 |
22K11023
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
磯野 洋一 金城学院大学, 看護学部, 講師 (50614517)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | アルコール依存症 / リカバリー / 人間関係 / 家族看護 |
研究実績の概要 |
本研究は、アルコール依存症の当事者と配偶者のリカバリー促進プログラムとして、人間関係の深化ツールを作成することである。2022年度は、人間関係の深化ツールを作成するにあたり、人間関係の深化で重要な概念の一つと考えた「絆」を鍵概念として、①アルコール依存症の夫婦の「絆」の概念分析のための文献を収集し、概念分析を進めた(現在も継続して進めている)。概念分析について、研究開始当初はSchwartzBarcott&Kimが提唱した、Hybrid Modelにて概念分析を実施する予定であったが、当事者と配偶者は意図的に「絆」の概念を用いて「絆」を深化させるわけではなく、無意識のうちに「絆」を深化させるものであることが明らかとなった。加え、我が国では「絆」の概念でアルコール依存症のリカバリーを捉えた研究が皆無であるため、概念分析では「絆」の構造と機能を明確にし、用法、属性を抽出し、その後「絆」の定義をして、アルコール依存の夫婦に応用可能か考察することを目的とするため、Hybrid Modelではなく、Walker&Avantの概念分析を使用することに変更した。さらに2022年度は、人間関係の深化ツールとしての②「渡辺式アルコール依存症版」の作成と洗練化を実施した。「渡辺式アルコール版」は、文献検討とフィールドワークにて「精神科病院の看護師」「当事者(断酒会の会員)」「配偶者(家族会の会員)」と共に現行の「渡辺式」を基に「渡辺式アルコール依存症版」の素案を作成後、当事者とその配偶者が使用可能なレベルにまで洗練化するものであり、フィールドワークをしつつ進めるものである。現在、当事者とその家族に展開し洗練化しつつある段階である。今後は、「渡辺式アルコール依存症版」を作成・実施し、「渡辺式アルコール依存症版」を用いた結果、当事者と配偶者の「絆」の変化を質的・量的に明確にしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
「渡辺式アルコール依存症版」の作成は、常にフィールドワークをしつつ作成していく必要がある。2022年度は、夏季を中心に新型コロナウイルス感染症が拡大している状況であったため、感染拡大の防止に努めた。結果的にフィールドである医療機関や研究参加者である高齢者への感染防止対策のため、十分なフィールドワークができていない。また、研究代表者が研究機関(大学)を異動したために新たな地域でのフィールド開拓に時間を費やしているため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度以降は、新型コロナウイルス感染症の動向に注意しつつ、フィールドワークを増やしていく。また、「渡辺式アルコール依存症版」の作成にあたり、現行の「渡辺式」を展開していきながら、「渡辺式」の困難な箇所を洗い出していく作業が必要であるため、当事者と配偶者に早目の時間確保を依頼する。さらに「絆」の概念分析を早々進め、同時に質的データーを収集していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究機関(大学)が変更(異動)したため、近隣のフィールド開拓の必要性があった一方で、質的データーの収集までには至らなかったことが理由である。
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