研究課題/領域番号 |
22K11055
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
仲井 あや 千葉大学, 大学院看護学研究院, 助教 (30612197)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Premature infant / NICU / Early Warning Score / 非侵襲的呼吸補助療法 / 呼吸管理 / Early extubation / CPAP / Neonatal nursing |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、出生後早期に非侵襲的呼吸補助療法を受ける早産児の状態悪化を予見する呼吸変動を検出し、医師-看護師間の臨床推論をつなぐ、Early Warning Score(以下、Preemie-EWS)を開発することである。2023年度は、前年度に引き続いて、研究の第一段階として文献レビューおよび、それに基づくスコア指標の確定を目指した。具体的内容は以下の通りである。 1.スコーピング・レビュー・プロトコルの修正と論文投稿(2023年4月~10月):スコア指標となる変数を選定するための文献検討の方法として、スコーピング・レビューを用いるため、レビュー・プロトコルを作成した。プロトコルは、論文投稿のプロセスを経て修正し、精錬を図った。プロトコル作成に際しては共同研究者3名の確認を受け、学術雑誌に投稿して2023年10月に採択された。プロトコル採択後は、共同研究者とともにレビューを実施し、その内容をまとめた。レビューによる成果の一部は、2024年5月にデンマークで開催される国際新生児看護学会(COINN 2024, 11th Council of International Neonatal Nurses Conference, May 6-8, 2024, Aalborg, Denmark)においてポスター発表を行う予定である。 2.フィールド調査(2023年7月):フィールド調査として、新生児集中ケア認定看護師への相談を行った。その中で、早産児の早期からの呼吸器離脱や非侵襲的呼吸補助療法の実施にあたり、臨床で行われている看護の実際と課題、とくに教育上の課題や実践上の課題、医師と看護師の協働に求められること等について情報を得た。これらの情報をスコア指標の検討や、臨床における調査実施時の配慮の中に反映させていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度内に予定していた医師・看護師を対象とする質問紙調査の開始、および施行版Preemie-EWSの作成と臨床での実用可能性の検証には到達していないため、研究の進捗は「やや遅れている」と判断した。2023年度は、研究代表者自身の教育エフォートが高かったことが要因と考えられる。一方で、今年度は、計画していたレビュー・プロトコルの学術雑誌への投稿と採択、レビューの開始を進めることができたため、スケジュールの上では遅れているものの、計画内容に変更はなく当初の予定に沿って進められていると判断した。今年度までの進捗を考慮し、次年度以降は、各調査の実施時期や研究期間内の目標を調整して、研究計画を継続する。
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今後の研究の推進方策 |
研究の進捗を考慮し、当初予定していた終了時期までの目標を再設定し、調査2の「施行版Preemie-EWSの作成と実用可能性の検証」を目指すものとする。2024年度は以下の計画を遂行する。また、2025年度以降も本研究を継続し、調査3の「実用版Preemie-EWSの作成と有用性の検証」を実施する。 1.調査1)医師・看護師対象の質問紙調査(2024年5月~12月):レビューの結果をもとにPreemie-EWSのスコア指標となる変数を選定し、医師および看護師への質問紙調査を実施する。本調査の実施に際しては、研究代表者の所属機関の倫理審査委員会に研究計画書を提出して承認を得る。また、調査対象者は研究代表者の研究ネットワークを通じて募集する。 2.調査2)施行版Preemie-EWSの作成とその実用可能性の検証(2025年1月~3月):調査1の質問紙調査の結果を受けて施行版Preemie-EWSを作成し、臨床の場において実用可能性の検証を行う。本調査の実施に際しては、研究代表者の所属機関および研究協力施設の倫理審査委員会に計画書を提出して承認を得る。研究協力施設は複数候補をあげ、順に依頼を行う。 3.調査1,2の結果を論文にまとめ、公表の準備を開始する(2025年3月)。 4.研究が計画通りに進まない場合の対応:2024年12月までに施行版Preemie-EWSの作成に至らず実用可能性の検証ができない場合は、その要因に基づいて研究計画を再考する。(1)計画内容の変更は不要だが時間が必要な場合は、研究期間の延長を考慮する。(2)計画内容の変更が必要でありPreemie-EWSの作成自体を見直す場合は、最終目標を変更する。その場合、早産児の状態悪化を予見する呼吸変動を検出するために医師・看護師間で共有できる指標を明確にし、臨床において活用可能な形で成果公表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度に計画していた質問紙調査の実施、施行版Preemie-EWSの作成、臨床における実用可能性の検証には至っていないため、調査依頼時の交通費や協力者への謝礼、施行版Preemie-EWSの臨床での実用可能性の検証に用いる電子端末機器の購入費用がかからず、次年度使用額が生じた。2023年度に実施した文献レビューの結果については、2024年に開催される国際学会で発表を行うことを計画している。したがって、研究計画を再考し、今年度の未使用額は次年度の計画内で実施する(1)質問紙調査、(2)臨床での実用可能性の検証、(3)国際学会での発表に使用する。
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