研究課題/領域番号 |
22K11061
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
三部 倫子 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (70639012)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | LGBTQ / 家族看護学 / 医療社会学 / 家族社会学 / クィア・ペタゴシー |
研究実績の概要 |
本研究プログラムの目的は、家族への看護実践にてニーズの高い、性と家族の多様性を踏まえた研修プログラムを、看護師をはじめとする医療従事者と患者への実態調査から考察することにある。 研究代表者のこれまでの研究および医療・福祉関係者向けの研修の経験から、サービス提供者側の無意識や無関心による特権へのアプローチが必要と考えられた。その取り組みの一環として、クィア・ペタゴシー(教育における性別二元制・異性愛主義を問う教授法)に関する文献収集・検討を進めた。 研修プログラムを現場に還元するためには、投稿論文に留まらず、多忙な現場とのつながりの維持が重要となる。そこで、GID学会第25回研究大会・総会に参加した際には、看護・医療現場におけるSOGI多様性を前提とした取り組みの事例報告を中心に聴講、報告者と連絡先を交換し、今後のネットワーキングにつなげた(2024年3月)。 研究協力者の影山葉子(浜松医科大学)と研究の方向性について検討を重ね、LGBTQやSOGIについての看護現任教育の文献レビューおよび既存データの分析に着手するため2024年5月開催予定の第50回日本保健医療社会学会第50回大会一般演題にエントリーし、受理された(「看護の現任教育に性の多様性を取り入れるために――海外の先行研究からの検討」)。 前年度に投稿し、校正を重ねた投稿論文が『日本保険医療社会学論集』34(1)に掲載された(「医療機関で性的マイノリティはいかに包摂されうるかーー公立病院と診療所での『家族等』の取り組みを通して 」)。 2年目は学会でのネットワーキングや文献検討を通じ、次の3点を達成することができた。1)日本国内での取り組みが広がりつつあること、2)現任教育の重要性、3)より日本の文脈にあった実践とのネットワーキングの必要性の確認。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現職の看護師への質的調査(インタビュー)を実施する前に、医療サービス提供者や医療機関そのものがもつ特権性についての理論的枠組み(クィアペタゴジー)を理解することができ、有意義な質問項目を設定できる見込みであるため。査読付き学会誌への掲載および、査読つきの学会報告もエントリーができている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度中に研究代表者の所属研究機関の研究倫理審査委員に、現職看護師へのインタビューの調査計画を申請する予定である。なお、研究代表者の休業復帰後に研究環境を整えることが難しかったことから、インタビューの実施は2024年度以降とし、研究実施期間の延長を申請する見込みである。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者はプロジェクト初年度に、半年の休業を取っている。復帰後、研究環境がなかなか整わず、当初計画していたインタビュー調査を控えざるを得ない状況となり、次年度使用額が生じている。研究環境の改善に取り組むとともに、研究プロジェクトの研究期間を延長することで、調査を実施する予定である。
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