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2022 年度 実施状況報告書

外国にルーツを持つ子どものヘルスリテラシー向上を目指すシステム構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K11062
研究機関島根大学

研究代表者

土江 梨奈  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 講師 (60760494)

研究分担者 神田 秀幸  岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (80294370)
福田 誠司  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30273147)
中島 千惠  京都文教大学, こども教育学部, 教授 (20309107)
柏木 智子  立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90571894)
久松 隆史  岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60710449)
福田 茉莉  岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70706663)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード外国にルーツ / 子ども / 多文化共生
研究実績の概要

近年、在留外国人の増加は著しく、2022年6月末には296万1,969人であり、外国にルーツを持つ子どももまた増加傾向にある。現状では、外国にルーツを持つ子どもは約55.6万人いるとされ、小児人口の5.7%、およそ20人に1人が該当する。外国にルーツを持つ子どもの、心身の健康問題は明らかになっておらず、健康を保持増進する術は非常に少ない。本研究の目的は「外国にルーツのある子どものヘルスリテラシー向上を目指すシステム構築」である。
本邦では、2006年に総務省が策定した「地域における多文化共生推進プラン」により、自治体は外国籍の世帯へ向けた相談体制の整備、産業保健の分野では取り組みが進められている。また異文化適応を主題に外国籍をもつ者を対象とした研究も多く実施されているが、留学生を対象とした研究が大半であり、子どもを対象とした研究は僅少である。子どもへの対応は、在籍する学校教員やNPO法人が手探りで行っているのが実情であり、外国にルーツを持つ子どもの健康問題の把握は喫緊の課題と言える。本研究の学術的な問いは、「外国にルーツを持つ子どもたちがどのような健康問題を抱え、その問題を解決していくにはどのような支援システムが必要であるか」である。
外国にルーツをもつ子どもへの参与観察を実施し、子どもたちの健康問題を明らかにする。支援者や、保護者にも面接調査、質問紙調査を実施し、家庭環境が健康状態と関連するかを明らかにするとともに、外国にルーツを持つ子どものヘルスリテラシーに影響するものは何かを明らかにする。これらの調査結果を反映し学校、自治体、地域組織が連携したヘルスリテラシー向上を目指したシステム構築を行う。このシステム構築によって、次世代を担う子どもたちの心身の健康を育み、健全な多文化共生社会を構築する一助とする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の主要研究機関である大学の近辺のボランティアと連携し、外国にルーツを持つ子どもの放課後や休日の居場所づくり「こどもサポートプロジェクト」を開催している。母語を自由に使ってよいこと、自由な活動を中心とし、子ども自身が学校教育とは違う環境において自由に過ごせる空間を目指している。学生ボランティアの派遣を中心とし、研究フィールドの開拓を行った。
また子どもの生活を支えている居住支援者へのインタビュー調査から、子どもの抱える健康問題が何であるかを明らかにする調査を行った。外国にルーツを持つ子どもへ支援歴のある教員、行政職員、地域ボランティア実施者の4名を対象とした。支援をするにあたっての困難感、子どもの身体的、精神的な問題等、また支援をするときに配慮していること等の語りを得た。プライバシーの問題や文化の理解という内面的な要素を持っているケースが多く、支援者の関わり方は大きなハードルがあることが明らかとなった。支援者の立場により、異なる困難感もある一方で、共通したものもある。支援者同士のつながりの重要性についても語りがみられた。結果については、第81回日本公衆衛生学会にてポスター発表を行った。
健全な多文化共生社会に視点を置き、地域の組織と一体となってシステム構築を目指し、「多文化ひろば」という支援者グループに参加している。この支援者グループで、地域住民が集まり、支援者の在り方を語るフォーラムの開催、だれでも参加できる多文化共生のイベントを実施した。

今後の研究の推進方策

「こどもサポートプロジェクト」の子どもの居場所つくりにおける参与観察や支援者のインタビューの中で、子どもの健康習慣の課題の一つとして、運動不足という点が挙げられている。地域支援者組織「多文化ひろば」の活動の一つ、多文化スポーツひろばを実施したところ、多くの外国にルーツを持つ親子が参加している。アンケートの中でも、言葉の壁を感じないイベントであった、もっと参加し交流を図りたいという意見が寄せられている。この活動の継続的な実施を目指すとともに、子どもの健康問題の焦点化を図っていきたい。
ヘルスリテラシーの向上を目指すにあたっては、言葉の壁が大きく存在する。スポーツや音楽など言葉の要らない活動は、居住者同士を繋ぐ機会となる。こういった取り組みを実施していくことで、支援システムへとつながるよう目指していきたい。
実践的な取り組みを主に2022年度は行ってきた。参与観察においては、コロナ禍であったことから当初の予定より少ない現状である。継続的に地域支援者組織の中で活動するとともに、参与観察、面接調査を進めていきたい。さらに今後は、この取り組みの成果を研究としてまとめ学会発表につなげていく予定である。また、全国的な動向や、世界の移民政策についても、学会等に参加し情報収集し調査を進めていくことを考えている。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍であり、所属大学の規定により、予定していた学会に参加が難しく、次年度以降に予定することとしたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 外国にルーツを持つ子どもの養育環境における支援~居住支援者へのインタビュー調査~2022

    • 著者名/発表者名
      土江梨奈 福田茉莉
    • 学会等名
      第81回日本公衆衛生学会

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公開日: 2023-12-25  

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