研究課題/領域番号 |
22K11064
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
佐藤 珠美 佐賀大学, 医学部, 教授 (50274600)
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研究分担者 |
福田 修 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20357891)
山口 暢彦 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (80363422)
中野 理佳 佐賀大学, 医学部, 准教授 (80588707)
坂本 飛鳥 西九州大学, リハビリテーション学部, 講師 (90758715)
YEOH WEN・LIANG 佐賀大学, 理工学部, 助教 (10898092)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 産後 / 身体不調 / 抱っこ / 遠隔姿勢評価 |
研究実績の概要 |
本研究では、母親の抱っこ時の身体不調を予防するための遠隔姿勢評価・支援システムを開発する。開発方法は次の通りである。1)産後1か月~5か月の母子の抱っこ時の姿勢の観察撮影とアンケートを行い、2)不良姿勢の自動計測について検討する。3)不良姿勢に起因した腱鞘炎発症モデルを作成する。4)腱鞘炎予防の遠隔姿勢評価・支援に向けたアプリ・クラウドシステムを構築する。 2022年度は、産後1か月~6か月の母子31組に対して、母親の通常姿勢と抱っこ時の姿勢の観察撮影(正面・左右)、Hand20(上肢機能評価)、 SF-8(健康関連QOL)や母親の抱っこ時の困りごとの有無とその内容、筋骨格系の身体症状、母子属性等のアンケートを行い、不良姿勢の自動計測に必要なデータ収集を行った。加えて、立位と椅子に座った状態での抱っこの姿勢と抱き方の調整後の姿勢についても観察撮影を行い、抱っこの姿勢と抱き方の調整前後の心身の不調の軽減の可能性を検討した。 さらに、OpenPose、BlazePose等のモーションキャプチャー技術を用いて母子の抱っこ姿勢の3次元推定を行い、関節角度や姿勢情報の数値化およびその推定精度の検証を行った。更に、収集した母子データと抱っこの不良姿勢との関連について調査を行い、調査結果について学会発表を行った。 2023年度は、調査結果を基に抱っこの不良姿勢セルフチェックと判定結果に基づく介入を行うアプリ開発の検討を行い、アプリによるセルフチェックの精度検証を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、予備調査の結果をもとに「深度カメラと姿勢推定を用いた抱っこの不良姿勢検知システム」「姿勢推定を用いた抱っこの不良姿勢検知システム」の2題を学会で発表し、研究計画の修正を行った。 その後、産後1か月~6か月の母子31組に対して抱っこ時の姿勢の観察撮影、 Hand20(上肢機能評価)、SF-8(健康関連QOL)や母子属性等のアンケートを行い、不良姿勢の自動計測に必要なデータ収集が行えた。抱っこの困りごとを訴える母親には、体幹や骨盤の前後傾等の不良姿勢が見られた。抱き方では、低位置の抱っこ、手関節の過剰屈曲や尺屈等が見られた。児の姿勢では身体・上下肢の伸展優位等の特徴を抽出し、抱っこにおける不良姿勢の判定に必要なチェックポイントを明確にすることができた。 これらデータを基にモーションキャプチャー技術を用いた母子の抱っこ姿勢の3次元推定が可能であることが確認できた。また、収集した母子データと不良姿勢の関連について実証調査を行い、調査結果を基に抱っこの不良姿勢セルフチェックの基礎アルゴリズムと判定結果に基づく介入方法が検討できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、収集したデータの調査結果を基に抱っこの不良姿勢セルフチェックと判定結果に基づく介入を行うアプリ開発を行い、一般の母子を対象に精度検証を行う。最終的には、これら研究成果を元に自宅からオンラインで不良姿勢をスクリーニングできるアプリと評価結果(改善点の指摘と改善方法の助言)及びの通知システムを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じている。主な理由としては、下記の通りである。 (理由)スクリーニング用端末としてLidarセンサー搭載のiPhoneを想定していたが、BlazePose等の3次元姿勢推定アルゴリズムの検討により安価なAndroid端末での開発が可能となり優先した。 SF‐36(QOL尺度)のライセンス料は一括納入を予定していたが、アプリ搭載の是非を慎重に検討するために、調査使用料は本年度の対象者分のみとした。 (使用計画)次年度以降は、Android端末・iPhone端末でのスクリーニングを検討する。
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