研究課題/領域番号 |
22K11070
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
前田 貴彦 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (60345981)
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研究分担者 |
辻本 健 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (10825285)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | AYA世代 / 慢性疾患 |
研究実績の概要 |
今年度は、小児期発症の慢性疾患をもつAYA世代患者の地域社会での課題および必要な支援内容について文献にて検討を行った。就学に関する課題として、特に義務教育の対象外となる高校生では入院中の「単位認定や進級判定の見直しの必要性」「学習支援や院内学級の少なさ」が挙げられた。復学支援においては、「復学後のフォローへの限界」「学校によるサポート体制の差違」「医療機関と教育機関との連携不足」などが示されていた。復学後の状況として、「容姿の変化によるからかいやいじめ」を体験している患者もみられた。また、教員の事故に対する強い不安や知識の不十分さから、患者に対し過剰な活動制約を求めている現状もあり、これらが、学校への満足度を低下させたり、家族の不安にもつながったりしていることが明らかとなった。さらに、患者や家族は、友人等への病気開示について必要性を感じながらも迷いを抱いていた。望む支援として、「患者・保護者と医療機関のさらなる連携」「原籍校の友人とのつながりが維持できるような取り組み」等が示されていた。日常生活では、「仲間に病気のことを理解されない状況」や「家族からの不十分なサポート」が課題であった。その一方で、周囲に「過度に気にされる」ことや「特別視による負担感」「親による病気への過度な心配や生活への干渉」を感じている患者もおり、地域社会において患者が安心して生活できるよう関係者が連携し、支援を提供する必要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、地域社会において小児期発症慢性疾患をもつAYA世代患者と家族を支援する立場である、保健師、養護教諭への面接調査の充実を図るため、学校や日常生活において患者と家族が抱える問題や必要な支援内容を明らかにするために、研究課題に関連する文献検討を追加で行った。あわせて、協力の得られた医療施設、地域、高等学校および特別支援学校に勤務し、AYA世代患者への関わりを有する看護師、保健師、養護教諭、医療ソーシャルワーカーを対象に、調査協力依頼、面接調査によるデータ収集を継続しているが、特に、保健師、養護教諭、医療ソーシャルワーカーの対象者確保が難しくその依頼に時間を要している。この様な状況から、研究計画が予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においても、AYA世代患者と家族への調査ならびに医療施設、地域、高等学校および特別支援学校に勤務し、AYA世代患者への関わりを有する看護師、保健師、養護教諭、医療ソーシャルワーカーを対象に調査協力依頼および面接調査にてデータ収集を継続して行う。研究協力者が少ない際は、依頼範囲を全国規模に拡大したり、機縁法などの手段を追加したりしながら、対象者の確保に務め、予定の計画が遂行できるよう随時計画の変更を行う。但し、対象者の依頼に時間を要する際は、実施計画が延長となる可能性もある。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、面接調査を予定していたが、当初の計画にくらべ対象者確保に時間を要しているため、面接調査にかかる交通費、対象者への謝礼、逐語録作成を専門業者へ委託するための費用などの使用が計画より少なくなった。また、研究の遂行がやや遅れているため質問紙調査にかかる費用や成果発表のための旅費が未使用である。これらのことから、次年度使用額が生じた。この次年度使用額として生じた資金の使用計画として、2024年度も継続して、面接調査を継続するため、それにかかる費用が必要となる。また、質問紙調査を進めるにあたって必要な消耗品の購入、本研究課題に関する情報収集や研究成果発表のための旅費等に必要な経費として充てる。
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