研究課題/領域番号 |
22K11076
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研究機関 | 京都看護大学 |
研究代表者 |
林 里沙子 京都看護大学, 看護学部, 講師 (60754512)
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研究分担者 |
園田 奈央 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (00640153)
森本 明子 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (90710377)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 母親 / 母乳育児 / 情報ニーズ / 意思決定葛藤 |
研究実績の概要 |
本研究は、母乳育児の継続または終了に関する母親の意思決定葛藤への支援プログラムを開発し、母乳育児中の母親を対象にした無作為化比較試験で意思決定葛藤の軽減への効果について検証し、母乳育児の継続や終了における支援のエビデンスを創出することを目的とした研究である。 今年度は研究計画に基づき、母乳育児の継続または終了に関する母親の意思決定葛藤への支援プログラムの開発および資材の作成を行った。また、下記について関連学会で発表を行った。 1)周産期の女性の意思決定葛藤への意思決定ガイドを用いた支援の効果について、国内外の介入研究17件の文献レビューを行った。レビューの結果、意思決定ガイドのテーマは、帝王切開術後妊娠の分娩様式7件、出生前診断6件、骨盤位の外回転術1件、無痛分娩1件などであった。媒体には冊子、ワークシート、音声ガイド、カード、ウェブサイトが用いられていた。介入効果に関して、意思決定葛藤の軽減に加えて、知識の向上、決定への満足度の向上が示された研究もあったが、一方で対照群との有意差が認められなかった研究もあった。介入による有害事象はいずれの研究においてもみられなかった。 2)1歳6ヵ月健康診査を受診した子どもの母親158名を対象とした実態調査より、母乳育児の継続または終了に関する意思決定葛藤が高い母親では、ヘルスリテラシー高得点群の者は18.8%、中得点群39.5%、低得点群44.0%(p=0.054)であった。交絡因子調整後の多変量解析の結果、意思決定葛藤が高群となるオッズ比は、ヘルスリテラシー高得点群と比較して、中得点群では2.98(95%CI 1.08-8.19, p=0.034)、低得点群では3.48(95%CI 1.21-10.01, p=0.021)であり、母乳育児の継続または終了に関する意思決定葛藤とヘルスリテラシーとの関連が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、母乳育児の継続または終了に関する母親の意思決定葛藤への支援プログラムで用いる資材や、支援のプログラムの開発を行った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度、母乳育児中の母親を対象にした無作為化比較試験を行うために、倫理委員会への申請準備をしている。倫理委員会承認後、研究計画に沿って介入を実施し、母乳育児の継続または終了に関する母親の意思決定葛藤の軽減への効果検証を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、研究補助者の人件費および研究補助者用の物品費を計上していたが、研究補助者が事情により働くことができなかったため使用しなかった。加えて、学会に参加予定であったがCovid-19の影響により参加できなかったため、当初予定していた旅費の予定額を下回った。 次年度は、介入研究を実施予定であり、事前準備やデータ入力など多くの作業が発生するため、翌年度分と請求した助成金と合わせて、研究補助者を雇用予定である。
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