研究課題/領域番号 |
22K11097
|
研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
西崎 未和 共立女子大学, 看護学部, 専任講師 (60331526)
|
研究分担者 |
谷山 牧 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (40413166)
松本 里加 共立女子大学, 看護学部, 専任講師 (30848065)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | アドバンス・ケア・プランニング / 大学生 |
研究実績の概要 |
本研究では成人前期の対象者について、2022年4月から改正民法で成人年齢が18歳に引き下げられたこと、集合教育の提供が可能な集団であることの2つの理由から、大学生に絞ることとした。大学生のアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の現状について、米国では複数の調査結果が報告されている。我が国では医療系の大学生を対象とした調査が散見されているものの、一般大学生の自身のACPに関する現状はほとんど明らかにされていない。そこで2022年度は、大学生を対象に下記の実態調査を行った。 調査は大学生のACPの現状および実施の関連要因を明らかにすることにより、今後大学生へのACP普及・啓発のための示唆を得ることを目的とした。大学生を対象にWeb調査を行い、属性・経験、ACPに関する知識・態度・行動や死生観等について回答を得た。376名を対象とし、各項目の記述統計およびACP実施と各項目の関連の検討を行った。大学生は死を身近に経験する機会やACPに関する知識が乏しかった。人生の最終段階における医療・療養に関する身近な人との話し合いの実施状況は、詳しく話し合っている8名(2.1%)、一応話し合っている42名(11.2%)、話し合ったことはない326名(86.7%)であった。話し合いの有無に関連していたのは、大学での生命に関する授業の経験(P = .040)、大事故や大病の経験(P = .046)、ACPに関する知識(P < .001)、ACPの考え方の賛否(P = .009)、人生の最終段階の医療・療養を考えた経験(P < .001)等であった。大学生のACPの実施を促進するためには、ACPの知識を普及するほかに、生と死に対する興味関心を高め、死を我が事として捉えられるような介入が効果的であると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実態調査は対象者や調査内容の検討と倫理審査手続き等により当初の計画より実施がやや遅れたものの、現在学会誌に投稿中で査読結果待ちの状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度実施したアンケート調査によってACP普及啓発プログラム作成について有益な示唆を得ることができたが、大学生のACPに関する思考やニーズについてさらに具体的で詳細な情報を得るため、大学生へのヒアリングを実施計画に追加する。 今後のスケジュールとしては、2023年度に大学生を対象としたヒアリングの実施を行い、その後具体的なACP普及啓発プログラムの検討と教材作成を行う。2024年度には作成したACP普及啓発プログラムの実施および評価を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初計画においては今年度に教材作成に着手する予定であったが、計画がやや遅れたことによって次年度使用額が生じた。次年度は大学生へのヒアリング調査を追加したことと、教材作成を当初計画よりも遅れて実施予定のため、翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する予定である。
|