研究実績の概要 |
【目的】産業看護職による遠隔保健指導の実施状況,実施の促進要因や阻害要因,メリットとデメリット,実施における課題と対策をアンケート調査で明らかにし,遠隔保健指導のよりスムーズな導入方法や効果的な実施方法を検討することを目的とする.調査票作成に先立ち,産業保健活動としてのweb会議システムを用いた遠隔保健指導の課題,遠隔保健指導導入の促進要因,阻害要因を整理するために文献レビューを行った. 【方法】医学中央雑誌を用いて遠隔,保健指導の用語で検索し, 2017年1月~2022年12月までに発表された文献の中から会議録を除いた26件のアブストラクトを確認し,本研究の目的に沿った13文献を対象とした. 【結果】遠隔保健指導を実施する上での課題は,1.環境上の課題:プライバシーが確保できる場所(実施者側,対象者側双方),不十分な回線速度による音声や映像の途切れ,対象者の自己負担が生じた等,2.保健指導の効果に影響する課題:対象者の表情が読み取れない,活用できる五感が限られるためアセスメントが難しい,バイタルサイン測定ができない,信頼関係を築きにくい,十分に相談できた気がしない(対象者側)等,3.技術上の課題:資料の画面共有等操作技術の不十分さ等が生じていた.遠隔保健指導の実施を促進する要因は,1.対象者からのニーズがある,2.任意の場所から面談が可能である(指定場所への移動が不要),3.面談の日程調整がスムーズである,4.対面よりも保健指導に対する心理的な抵抗が下がる等があった.一方阻害要因では,1.対象者がプライバシーを守れる面談場所の確保が必要である,2.インターネット環境が必要である,3.十分な保健指導ができないと感じる等があった. 【結論】今後これらの結果を踏まえてアンケート調査を実施し,遠隔保健指導の課題やその対策,メリットを生かす保健指導方法を検討する.
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