研究課題/領域番号 |
22K11138
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
駒形 朋子 (阿部朋子) 東京女子医科大学, 看護学部, 准教授 (70361368)
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研究分担者 |
佐々木 吉子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (90401356)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 看護労働力 / 看護業務 / ロボット / タスクシェア / タイムスタディー / 超高齢社会 |
研究実績の概要 |
1.看護業務調査の実施:2022年度に調査を行った東京都内の中規模病院看護部の協力を得、看護補助者の業務の直接観察調査を実施した。調査は2023年8月、看護補助者が配置されている4つの病棟で計7名を対象に、日勤業務の直接観察調査を行った。観察された勤務時間の平均は6時間(超過勤務はなし)、観察された行動の平均は368個(同病院の看護師は309個)で、看護師とは反対に経験年数の長い対象者の方が行動数が多かった。看護補助者業務はすべてがノンスキルすなわち資格の不要であり、業務マニュアルに記載された内容はシンプルだが、その行間が暗黙知、経験値で埋め尽くされ、経験から状況を判断し細々した業務を巧みに組み合わせながら、医師や看護師の業務を支援し患者のもっとも身近で日常生活を支える役割を持っていた。ノンスキル業務ではあるものの、臨機応変な判断を要し複雑であることから、ロボットへの委譲は看護師業務委譲に難しいかもしれない。あるいは、一定の領域の業務はすべて、等切り分け方の工夫があれば実現可能かもしれないと考えた。 2.医療現場におけるロボットのデモンストレーションの実施 研究代表者の所属先施設病院において、①物品搬送ロボットForro(川崎重工業株式会社)、②巡回警備ロボットUgo(ugo株式会社)のデモンストレーションを実施した。①は、病院地下の医療器材室・薬剤部から病棟への物品運搬デモを実施し、外見や機能には好評が得られたがセキュリティードアの通過方法などいくつかの課題も見いだされた。②は、病院玄関で簡単な挨拶や案内業務を想定したデモを行った。看護スタッフからは、検査の説明など定型的な案内や、物品搬送のニーズが挙げられた。 3.学会での発表・情報収集 2023年7月にカナダで開催された国際看護師協会学術集会で看護政策に関する発表を行ったほか、看護理工学会、看護管理学会にて情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.看護業務調査:中規模病院において、2022年度に実施した看護師業務に加え看護補助者業務の調査も遂行できた。データ整理・分析もおおむね終了し、翌年度の学会発表、論文執筆に向けて引き続き活動を進める。
2.社会実装の試み:ロボットの開発製造を行う民間企業とのネットワークを構築でき、様々な情報交換や協力が可能になった。2024年4月の診療報酬改定において追加された、看護業務の負担軽減のためのICT活用に関する項目の加算等も活用し、看護スタッフのニーズを取り入れながら病院での実装実験に進める予定である。
3.学会・論文発表 すでに収集したデータをまとめ、翌年度の国内外での学会発表や論文発表に向けて進めることができる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
1.追加的な看護業務調査の実施:研究代表者の所属先施設病院において、追加的に看護師の業務調査を実施予定である。
2.社会実装に向けた活動:昨年度デモを行った民間企業と連携を深め、病院での実装実験に向け計画している。年度内に実施予定とする。
3. 学会・論文発表:2024年度は工学系の国際学会での発表を予定している。またすでに収集したデータについては論文として年度内に発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者分はおおむね予定通り使用した。研究分担者分が残っているが、来年度の学会発表、論文作成に使用予定である。
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