研究課題/領域番号 |
22K11141
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小寺 さやか 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (30509617)
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研究分担者 |
中世古 恵美 関西国際大学, 保健医療学部, 准教授 (00513425)
田中 祐子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (10535800)
岩本 里織 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (20321276)
井上 清美 姫路獨協大学, 看護学部, 教授 (20511934)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 保健師 / 基礎教育 / グローバル化対応能力 / プログラム開発 / 実装 |
研究実績の概要 |
グローバル化が進展する中,COVID-19のパンデミックは,とりわけ社会的弱者と言われる外国人の健康と生活に大きな影響を及ぼしており,保健師が外国人に関わる機会も増加している。本研究では,これらに対応できる保健師を育成するための実装的な基礎教育プログラムを開発し,その普及を図ることである。2022年度は、在住外国人の支援ニーズを明らかにするために1事例の事例分析を実施した。便宜的サンプリングにより、COVID-19陽性となり自宅療養を経験した外国人1名に半構造化インタビューを実施した。その結果、支援に対する思いとして、【保健医療サービス利用のハードル】【公的支援を受けることへの諦め】【友人や周囲からの支援の有難さ】【母国政府からの支援の手厚さ】【セルフケアの重要性】等のカテゴリが抽出された。言語の障壁が少ない外国人であっても、制度や文化の壁から保健医療サービスへのアクセスが難しいことが明らかとなった。一方で、特に外国人にとってエスニックコミュニティから得られるサポートが重要になる可能性が示唆された。また、2022年度にコロナ禍において保健師課程で試行的に実施した在住外国人の支援を目的とした教育プログラムの総括を行った。その結果、学生は一連の展開を通して、文化や歴史、価値観を理解することの重要性に気づくとともに、異なる文化的背景を持つ住民集団の健康課題と保健医療福祉システムにおける課題について考えることができていた。また、コミュニケーション能力については、やさしい日本語が一つのコミュニケーションツールになることを実感し自信を得ていた。以上を踏まえて教育プログラムの内容を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究で使用予定の「グローバル社会で求められる保健師のコンピテンシー指標」の開発がCOVID-19感染拡大の継続により延期となっていたこと及び保健師教育機関の活動制限が継続されていたことから、ベースライン調査及び教育プログラムの試行を見送ったことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に保健師学生のグローバル化対応実践能力の実態を把握するため、2022年度に実施を見送った保健師学生を対象としたベースライン調査(質問紙調査)を実施する。また、検討した教育プログラムの内容的妥当性を確認し、保健師学生に試行的に教育プログラムを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
第一に、2022年度に実施予定であったベースライン調査及び教育プログラムの試行を延期したことがある。これにより、統計ソフト等の購入を見送った。第二に、第一の理由に伴い学術集会での成果発表ができなかったことや学術集会へのオンライン参加により必要経費が縮減されたことや主な理由である。2023年度にベースライン調査及び教育プログラムを実施するとともに、研究成果の公表(現地参加)により助成金を使用できる見込みである。
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