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2023 年度 実施状況報告書

錯視定量化を基盤とした高齢入院患者の新規せん妄予測法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K11189
研究機関東邦大学

研究代表者

橋本 裕  東邦大学, 看護学部, 講師 (10510810)

研究分担者 海老原 覚  東北大学, 医学系研究科, 教授 (90323013)
高田 聖果  東邦大学, 看護学部, 助教 (30932917)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード高齢者 / 認知機能障害 / ノイズパレイドリアテストパレイドリア / せん妄
研究実績の概要

本研究は、レビー小体型認知症の診断に活用されている錯視の定量化が、せん妄を予測できる可能性が高いと考え、既存の検査ツールである錯視定量化法(ノイズパレイドリアテスト:以下、NPTとする)から、せん妄発症の予測法を開発することを目的とした。現在まで、本研究に同意を得られた全対象者は118例だった。そのうち22例は、除外基準に該当しため分析対象から除外した。分析対象者は、96例となり、そのうちDeliriumScreening Tool(以下:DSTとする)陰性群は59例、DST陽性群は37例(陽性率=38.4%)であった。対象者の平均年齢は、83.2±5.9歳、MMSE-Jの平均は18.2±4.8点、NPTにおいてパレイドリアの平均枚数2.3±3.1枚であった。DST陰性群とDST陽性群の2群間において、使用薬剤、NPT、認知機能、血液データなどの項目をもとにロジスティック回帰分析を行った。さらに、ROC曲線からカットオフ値を算出した。ノイズパレイドリアテストの合計枚数、カリウム値、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の使用が、せん妄の陽性率と関連していた。オッズ比(CI)はそれぞれ1.253(1.042-1.508)、0.441(0.189-0.965)、2.897(1.097-7.616)であった。また、ROC 解析の結果、AUC=0.737、NPTによるせん妄を判別するための感度は83.8%、特異度は59.3% であった。以上の結果から、NPTはせん妄の予測因子とし有望であることが示唆された。NPTの合計枚数に有意差を認めたため、DST陽性群においては、パレイドリアが存在するということが示唆された。これまで、せん妄における知覚障害を早期に検出するための手段は存在しなったが、本研究によりNPTが、せん妄の症状である知覚障害を検出する可能性を示唆したことになる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は、当初の計画以上に進捗できた。今年度は新ためて世界中の文献の系統レビューを行い、得られたデータの分析方法を再度検討した。そのため、本研究は、概ね当初の研究計画通りに進展していると言える。

今後の研究の推進方策

前回の研究の課題として、レビー小体型認知症の対象者数の少なさがあった。レビー小体型認知症の症例数を増やすことで、せん妄でもノイズパレイドリアテストが有効であることを検証したいと考えている。レビー小体型認知症の診断は複雑であるため未診断であってもレビー小体型認知症を否定することは難しい。よって多くの症例を収集することでレビー小体型認知症も増えるのではないかと考える。
今まで研究者が1人でデータ集を行なっていたが、今後は令和5年1月に加わった研究分担者の2名体制でデータ収集を実施していく。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、前回の研究で課題であったレビー小体型認知症の対象者を増やすことでデータの変化が見られないかを検証することを予定していたが、レビー小体の診断を受けた対象者が少なかったため対象者数が十分に得られなかった。
よって、未使用額については、次年度の配分金と合わせ、引き続き検査を継続するため、検査用紙の購入や、情報収集のための学会出張旅費、学会参加費等に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 超高齢者の緩和ケア2023

    • 著者名/発表者名
      桑田美代子他
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      南山堂
    • ISBN
      978-4-525-50471-7

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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