研究課題/領域番号 |
22K11201
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
牛尾 裕子 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00275322)
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研究分担者 |
斎藤 美矢子 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (30864368)
田村 須賀子 富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (50262514)
村上 祐里香 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60898865)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 公衆衛生看護 / 看護学基礎教育 / メタ認知 / 対話 / 看護学実習・演習 / 保健師 |
研究実績の概要 |
1.研究会議:月1回研究会議を開催し、「問い」に着目した対話法について研究者らの経験と文献、理論に基づき議論を重ねた。 2.ワークショップ:日本地域看護学会第26回学術集会ワークショップ(2023.9.2 参加者52人)、地域看護学教員ファカルティディベロップメント会議ワークショップ(2023.12.4 参加者12人)を開催した。「公衆衛生看護の思考を深める対話法 思考を深める問いとはどのようなものか」をテーマに、研究者らの検討から得られた知見をもとに、地域看護・公衆衛生看護の人材育成に関わる教員や保健師と議論した。 3.文献レビュー:日本の看護系大学で事例や状況を用いた看護実践の教育手法の動向を明らかにすることを目的として文献調査を行った。176件が抽出され、プログラム対象学年及び対象領域と企画評価で用いられた教育手法等を分析した。公衆衛生看護学分野における理論に基づく教育実践の報告は他専門分野に比べて少なく、その背景をさらに分析する必要がある。 4.学生対象調査:公衆衛生看護の実習において、学生がどのような経験を通して公衆衛生看護の理解を深めているかを明らかにするため、公衆衛生看護の実習を終えた学生を対象に、グループインタビューを実施した。3大学に在籍する4年生5名の協力が得られた。公衆衛生看護の学びが深まる経験とは、学生に生じる主体的な問いが起点となり、学びのプロセスにおいて実習体験や教員・指導者などと関わる体験がリフレクションをもたらし、学びを深めていた。学びの質と体験との関連についてさらなる分析が必要である。 5.教員対象調査:公衆衛生看護の実習・演習指導の場面での、学生の反応に対する教員の働きかけにおいて、教員がどのようにメタ認知を働かせているのかを明らかにする目的で教員対象のインタビューを計画し、2026年8月にかけて調査を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は、対話を取り入れた学習を提供しその有効性を検証する計画としていたが、メタ認知と対話理論を深めながら対話法を検討するプロセスで、本研究で探究する対話法が教授内容と切り離されたテクニック(方略)ではないことを確認した。そこで、公衆衛生看護の学び支援における対話の本質を、教員と学生対象の調査により明らかにする計画に変更した。同時に、教員が対話法(態度的側面も含め)を深めるプログラムとしてワークショップを精錬させることとした。 以上より、本研究の目指すところに向かって予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度として、看護学基礎教育の実習や演習の場面において「公衆衛生看護の思考を深める対話の指針」を提示する。本指針は、特定のプログラムに限定した対話方略ではなく、公衆衛生看護学教育において「事例・状況」を用いた演習や実習指導場面での学生の学び支援のための対話のフレームワークと原則から構成される。また、地域/公衆衛生看護学を担当する教員が、演習や実習指導における学生との対話力を深めるための教材とこれを用いた教員向けプログラム案を提示する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ワークショップ開催の会場費や講師費用を計上していたが、会場は大学などを利用することで必要なかった。講師も研究メンバーが担当したため謝金が不要であった。また、研究成果発表のための投稿料を計上していたが、調査遂行に時間がかかっており使用しなかった。 最終年度であるため、研究成果発表などに使用する。
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