研究課題/領域番号 |
22K11213
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
橋口 大輔 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (00625965)
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研究分担者 |
黒瀬 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (40397162)
熊谷 美保 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (20398481)
三浦 幸枝 岩手医科大学, 看護学部, 教授 (50825510)
森川 和政 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70514686)
佐藤 大祐 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (70778703) [辞退]
下山 佑 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (90453331) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 舌ブラシ / 舌ケア / オーラルケア / 画像解析 / 触圧感覚 / 機械学習 / 深層学習 |
研究実績の概要 |
新型ウイルス感染症の爆発的な拡大と符号するように「新しい生活様式」としての口腔ケアの充実が水際対策として注目されている。口腔ケアのうち、う蝕や歯周病予防を主眼としたケアは広く周知されてきたが、ウイルスが結合する受容体を最も多く有する舌に対する認識は高くない。これらの背景から、感染症の水際対策を強化するため舌ケアに対するリテラシーを高めることが肝要である。そこで、歯科技能評価の特許技術を有する研究者を加え、触圧センサを埋め込んだ舌ブラシと機械学習用プラットフォームからなる実践的なシミュレータの開発を行い、細菌数や上皮残渣数を教師信号とした理想的な磨き方の可視化を行い、自身の舌ケアの可視化・評価を実現し、高齢者と看護の主役たる看護師や介護者を対象としたガイドブックの作成へと連携させる。これにより、舌ケアに対するリテラシーが高まることが期待され、セルフケアの充実へセルフケアの充実へと波及させる研究計画である。研究計画内では、①舌に加わる三次元方向の力の可視化、人工知能技術を活用した②理想的な舌ケアの解析、③舌ケアのガイドライン作成を行うことを予定している。 本年度は、舌に加わる力の可視化を目指して、多軸触圧センサを組み込んだ機器を作成し、硬さや形状を模した2倍大の舌模型を試作して機器の精度を検証した。最終的に目指すモデルは、舌ブラシにセンサを組み込むことを予定しているため、センサを組み込むヘッド部は防水化を施す必要があることと、舌ブラシのサイズに現行センサを組み込むとアンプ類の配置が容易ではないことから、1.5倍サイズのヘッドにセンサを組み込んだモックアップを作成し、まずそのモックアップを用いて有効性を検討することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌ブラシ使用時の舌に加わる力の可視化を目指してシステム開発を開始している。基盤となる技術は、分担研究者は保有する特許技術である、多軸触圧センサを用いた歯科技能評価方法である。多軸触圧センサをシステムの核として、ブラッシング時にセンサ面に加わる力を6軸方向に分解して出力し、有効なパラメータを検索することとする。本年度は、実際の舌ブラシに組み込むのではなく、2倍強のサイズとした舌ブラシ様計測棒にセンサを組み込んで、硬さや形状を模した2倍大の舌模型を試作して、機器の設計をまず検証することとした。 舌磨きを行った際には、X軸Y軸Z軸の各軸に一定以上の出力が記録され、その記録はストロークの頻度に類似した変化を示した。また、それぞれの軸のモーメントも同様に動きに応じた出力変化を示したが、X軸のモーメントが最も顕著な出力を示した。
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今後の研究の推進方策 |
試作したシステムでは、一定以上の出力を得ることが出来たことから、舌磨き時の舌に加わる力の可視化は可能であり、その力を分解して評価することで詳細な舌磨き指導ツールとして発展させる可能性が感じられる結果である。しかしながら、センサ形状やアンプなどの配置に大きな課題があり、小型化を踏まえた設計の見直しが必要である。 そこで、①センサのサイズの検討 ②センサの感度の検討 ③アンプ類の配置位置の検討 というハードウェア面での検討を行い設計を見直す。3Dプリンタでモックアップを作成して、舌模型を対象に精度の検証を行う。 記録されたデータから ④特徴を明確に示すパラメータの発見 というソフトウェア面での検討を行う。この際、ハードウェア面とソフトウェア面の検証はリンクさせる。 次年度では、測定精度とあげると同時に、通常の舌ブラシに組み込めるレベルの小型化を同時に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、研究資料収集を予定していた学会がハイブリッド開催となるなど、新型コロナウイルス感染症の関連では変化があったが、本学の方針から、積極的な対面式の学会への参加を控えることとした。これにより、旅費や参加費などに余剰分が発生した。また、機械学習・深層学習用のプラットフォームは自作プログラムを保有しているが、使い勝手などを考慮して改良することを予定していたが、データの解釈の部分がまだ課題があるため、プログラム修正(外注)は次年度以降としたため、余剰が生じた。 次年度は、システムの設計見直しを行うことを計画しており、造形などに本年度の余剰分をあてて研究遂行に努める。
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