研究課題
本研究の目的は、慢性・反復性のうつの一部に、生育歴的なトラウマを背景にもち、解離や情動調整不全といった特性に焦点を当てた支援が必要なケースが一定数あるとの問題意識に基づき、慢性・反復性のうつに特に焦点を当て、その支援の展開に寄与するために、Ⅰ:現場での利用に適した子ども期の虐待や逆境体験などの虐待周縁の否定的生育環境の影響のアセスメント尺度の心理測定学的特性と妥当性の検討、Ⅱ:子ども期の虐待的環境などの生育歴的背景が、解離や情動調整不全という個人特性要因を媒介し、慢性・反復性の治療抵抗性のうつに結びつく媒介モデル、およびその媒介過程を抑制する要因を検討する媒介調整モデルの検討、Ⅲ:それらの成果を基に、地域精神保健および小児精神保健の現場の日常業務に組込むことのできる、簡便な手法の現場実装の効果の検討、を行う、というものであった。2022年度には、Ⅰについて、①代表者の邦訳したACEの尺度であるCATSの心理測定学的特性と妥当性の検証をこれまで蓄積されてきた大規模データの再分析(個人情報との連結不可能な形で保存されている既存資料の再分析)により、多母集団解析などの高度な統計モデルによる因子構造の厳格な検討、得点分布の標準データの提供などを行う。また②赤堀・田辺,(2018;2019)で検討してきた「甘えられない環境」尺度の洗練化と妥当性の検証を行う予定であった。①については、基礎的な解析を進めた。引き続き、多様な手法による解析を行う予定である。また②については、15項目版の作成を行い、学会発表を行った。引き続き、尺度の洗練化の作業をすすめる。
3: やや遅れている
社会状況(SARS-CoV-2感染拡大)への対応の影響から、対面での活動が制約されたため、若干進捗に遅れが出ているが、現段階の主な作業は、非対面でのものであるため大きな影響は無かった。次年度は学会活動も再開可能と思われ、キャッチアップすることが期待される。
計画通り、Ⅰ:現場での利用に適した子ども期の虐待や逆境体験などの虐待周縁の否定的生育環境の影響のアセスメント尺度の心理測定学的特性と妥当性の検討、Ⅱ:子ども期の虐待的環境などの生育歴的背景が、解離や情動調整不全という個人特性要因を媒介し、慢性・反復性の治療抵抗性のうつに結びつく媒介モデル、およびその媒介過程を抑制する要因を検討する媒介調整モデルの検討、Ⅲ:それらの成果を基に、地域精神保健および小児精神保健の現場の日常業務に組込むことのできる、簡便な手法の現場実装の効果の検討、を行う。
社会状況(SARS-CoV-2感染拡大)への対応の影響から、対面での活動が制約されたため、若干進捗に遅れが出ていたため、その分の執行にかかる経費が繰り越しとなった。次年度は学会活動も再開可能と思われ、計画通り研究を進めていく予定であるため、次年度計画している予算と合算して執行する予定である。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件)
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