研究課題/領域番号 |
22K11233
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
伊東 尚美 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60814358)
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研究分担者 |
坪倉 正治 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (20527741)
佐藤 美佳 福島県立医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (40739281)
森山 信彰 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90805920)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 介護 / 介護予防 / 東日本大震災 / フレイル / 避難 / 帰還 / 原発事故 |
研究実績の概要 |
本研究では、基本チェックリストを用いて介護実態を明らかにし、今なお避難住民を抱える自治体の保健福祉施策に役立てることを目的とした。 R2~4年度の要介護認定を受けていない65歳以上の葛尾村の登録住民毎年約400人を対象に、基本チェックリストを配布した。①チェックリストの各設問の該当者率、基本属性(年齢、性別、家族構成、居住地)、介護申請情報の単純集計を行った。②居住地別(村内・村外)とチェックリスト機能別(運動機能・低栄養・口腔機能・生活機能・認知機能・うつ)/フレイル区分/新規要介護の有無の各クロス表と、機能別とR2~4年度までの新規要介護の有無/フレイル区分の各クロス表を作成し、 χ2 検定を行った。 (1)R2年度337人(回答率85.6%)、R3年度311人(75.3%)、R4年度347人(81.8%)から回答を得た。回答者の平均年齢は74.9±7.1歳、女性49.3%だった。居住地は村外58.0%だった。(2)R2年のみ「運動機能」で村内(4.7%)より村外(15.1%)、「生活機能」で村内(0%)より村外(4.7%)が高かった(p<0.001)。フレイル(R2のみ)は、村外(30.7%)が村内(11.2%)に比べて2.7倍高かった(p<0.001)。(3)機能別と要介護新規発生で関連があったのは、R2は「生活機能」(p=0.043)のみ、R3は「運動機能」(p=0.006)・「生活機能」(p=0.005)だった。(4)年齢層別と居住地別では、75歳以上の村外居住者で「運動機能」(p=0.014)「認知機能」(p=0.017)「うつ」(p=0.048)と関連していた(R2)。 村外居住者のフレイルや新規要介護認定が高く、特に75歳以上の村外居住者で運動機能や認知機能の低下が認められた。大規模災害後に長期避難が生じる場合、避難先における後期高齢者支援の必要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
毎年村からデータをお預かりし分析している。分析結果は、葛尾村高齢者保健福祉計画第9期介護保険事業計画に反映された。現在論文化を進めている状況にある。インタビュー調査なども続けており、引き続き被災地の抱える介護問題について考察を深めていく。
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今後の研究の推進方策 |
葛尾村を含む原発事故の被災地域では、帰還住民の高齢化が顕著であり、この地域の介護予防施策の充実は公衆衛生上大きな課題である。 周辺の町村の介護給付費などのデータを収集し、災害後の推移をまとめる等介護予防のための基礎データを作成することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文投稿費用
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