研究課題/領域番号 |
22K11235
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
松永 早苗 神奈川県立保健福祉大学, 実践教育センター, 准教授 (30614581)
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研究分担者 |
石原 美和 神奈川県立保健福祉大学, 実践教育センター, センター長 (10803976)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 感染症 / 偏見 / 差別 / ヘルスリテラシー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、感染症に罹患した方を対象にインタビューを行い、感染症による偏見や差別を明らかにし、ヘルスリテラシーを高める方法を抽出することである。 2022年度は、感染症と偏見に関する先行文献をレビューした。ハンセン病と偏見・差別に関わる先行文献では、ハンセン病罹患者が個別に受けた偏見・差別の実態や国のハンセン病に関わる対応が、偏見・差別を助長する結果となることが述べられていた。一方、偏見・差別をなくすための具体的な方策を示した文献が見当たらなかった。 2019年より流行している新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)において、医療者や罹患者が偏見・差別を受けており、ハンセン病と同様の状況にあると考えた。そこで、コロナによる偏見・差別に関する文献をレビューした。医学中央雑誌Web版、PubMedから、16の文献をレビューの対象とした。文献から、医療者や罹患者、その家族がコロナにおける偏見・差別を受けていることが分かった。偏見・差別は、医療者や罹患者、家族のストレスや不安を高めていた。コロナの偏見・差別へのヘルスリテラシーを高める方法として、小中学生へ感染予防対策を教授する取り組みが紹介されていた。課題は、ヘルスリテラシーを評価する指標が必要であると述べられていた。一方、コロナにおける偏見・差別の実態に応じたヘルスリテラシーを高める方策は、検討されていなかった。文献レビューの結果から、コロナにおける偏見・差別の実態を明らかにし、共通する偏見や差別に応じたヘルスリテラシーを高める方法を具体的に抽出する必要があると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、主にハンセン病に関する偏見や差別について文献を検索しており、研究倫理審査への申請が遅れてしまった。一方、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)における偏見や差別の文献レビューから、コロナウイルス感染症における偏見・差別の実態に応じたヘルスリテラシーを高める方策が、検討されていないことが分かった。文献レビューの結果から、コロナにおける偏見・差別の実態を明らかにし、共通する偏見や差別に応じたヘルスリテラシーを高める方法を具体的に抽出する必要があることが明確となった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、7月までに研究倫理審査へ申請し、承認を得る。その後、主に新型コロナウイルス感染症に罹患経験を有する対象にインタビュー調査を行う。2023年度中には、インタビュー調査の分析を終える。同時に、ハンセン病やエイズに罹患した経験を有する患者にインタビュー調査を行えるよう、研究計画を進める。また、研究のデータ収集や分析を担うことができる感染症を専門とする看護職に研究協力を依頼している。研究分担者、研究協力者の協力を得て、研究を進める。 今後は、新型コロナウイルス感染症以外の感染症に罹患した経験を有する対象に、インタビューを行う。データ分析の結果から、共通する感染症による偏見や差別を明らかにし、ヘルスリテラシーを高める方策について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、文献レビューや関連学会での情報収集に時間をかけたため、研究対象者へのデータ収集を実施できなかった。また、研究環境をさらに整えるために、助成金を使用した。 2023年度は、研究対象者へのインタビュー調査とデータ分析を実施する。そのため、繰り越した助成金を、インタビュー調査に関連する旅費や対象者への謝礼へ使用する。また、研究を円滑に進めるために、感染症を専門とする看護職に研究協力を依頼し、データ収集ならびにデータ分析を行う予算とする。 2024年度は、データ収集ならびに分析を行いながら、積極的に関連学会において研究テーマについて発信する予定である。そのための経費を計上する。さらに、研究のまとめとして論文作成の準備を行う予定である。
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