研究課題/領域番号 |
22K11238
|
研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐々木 八千代 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10382243)
|
研究分担者 |
白井 みどり 大阪公立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30275151)
秋山 庸子 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50452470)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | ICT / 高齢者 / 実態調査 |
研究実績の概要 |
地域在住高齢者の情報通信機器利活用の実態と健康状態との関連を明らかにすることを目的とした調査を2023年1月末から2月初旬に実施した。離島で生活する65~84歳の要介護認定を受けていない地域在住高齢者1562人に調査票を配布し、調査票と同意書の返信のあったものは323名であった。 対象者の属性は、男性が148名(47%)で平均年齢±標準偏差が73.1(±4.6)、女性は167名(53%)で、平均年齢が73.0±5.0歳であった。 情報通信機器の利用(複数回答)に関しては、スマートフォン利用者は229名(72%)、タブレット利用者は21名(7%)、携帯電話(ガラケー)利用者は77名(24%)、パソコン利用者は80名(25%)、情報通信機器を利用していないものは14名(4%)であった。スマホやタブレットの利用開始は、1年以内が10%、2~3年前が20%、4~5年前が19%、6年以上前が51%であり、コロナ禍以前からの利用者が多かった。 利用頻度は毎日利用するものが87%で、1日の総利用時間は1時間未満が54%、1~2時間程度が31%、3~4時間程度が11%であった。利用内容は電話が最も多く98%、次いでメール送受信77%、ライン74%、情報検索53%、ニュースなどの閲覧38%、動画視聴33%であった。 スマホやタブレットを利用していないと回答したものに今後の利用希望について確認したところ、利用したいが23%、利用したくないが47%、分からないが30%であった。利用したくない理由は、必要ないが58%、使用方法が分からないが22%、トラブルへの不安が8%、費用が高いが11%であった。 令和2年の内閣府の調査では、スマホやタブレットを利用していないものが約50%であったことから、本研究の対象者はスマホやタブレットの利用者割合が高いと考えられる。 今後は、健康状態との関連も検討する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、地域在住高齢者の情報通信機器利活用の実態と健康状態との関連を明らかにすることを目的としており、今年度は、質問紙調査を実施し、横断的なデータ解析を計画していた。調査は、離島で生活する65~84歳の要介護認定を受けていない地域在住高齢者1562人を対象に、2023年1月末から2月初旬に実施した。調査票と同意書の返信のあったものは323名であった。現在1年目の質問紙調査を終え、データ整理やデータ解析を進めているところであるが、5月中にはICTの活用実態と健康状態との関連について解析を終える予定である。質問紙調査は、2026年度まで継続していく計画であるが、郵送調査では20%程度の回収率であるため、次回以降は調査方法を検討する必要がある。具体的には、2022年度協力者には個別に郵送し、次回調査時に65歳になった対象者には郵送、それ以外には老人クラブや地区の集会などで調査協力の呼びかけを行いたいと考えている。 2023~2024年度は、スマホやタブレットを利用していない高齢者を対象にICTの利活用を支援し、そのプロセスを明らかにするために、タブレット利用教室を開催し、その前後の対象者の健康状態等を評価し、さらに利活用教室での困難や支援内容、その後の利活用実態を確認する予定である。2022年度中に、研究協力地域の保健センタ保健師と対象者の選定方法等について検討を進めており、教室の講師、開催場所、プログラムなどの調整を終え、倫理審査書類を作成中である。倫理審査の承認には申請から2~3か月程度を要するため、タブレット利用教室は10月以降になる予定である。 また、タブレット利用教室の計画と合わせて、2025~2026年度の利活用の多様化教室についても検討を始めているところであり、研究計画通りの進捗状況であると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023~2024年度は、スマホやタブレットを利用していない高齢者を対象にICTの利活用を支援し、そのプロセスを明らかにすることを目的としている。そのために、タブレット利用教室を開催し、その前後の高齢者の健康状態等を評価するとともに、教室での困難や支援内容、その後の利活用状況を確認する予定である。 現在の進捗状況として、2022年度中に、研究協力地域の保健センター保健師と対象者の選定方法等について検討を進めており、教室の講師、開催場所、プログラムなどの調整を終えてたところである。現在は、質問紙などを作成しており、6月にタブレット利用教室に関する研究計画を倫理審査委員会に申請する予定である。タブレット利用教室は、1クールあたり3人で、3クール行う予定である。1クールの内容は、2ヵ月間教室を受講し、その後の1ヶ月間はタブレットとWi-Fiの貸し出しを行い、利用状況を確認する。貸し出し中の1ヶ月間については、タブレット教室の講師に利用方法などをいつでも相談できる体制をとることとしている。倫理審査には3か月程度を要するため、タブレット利用教室の開催は11月以降と考えている。 さらに、2022年度に引き続き、質問紙調査も実施する予定である。2022年度調査の解析結果が5月ごろになるため、8月頃には、対象者の選定方法や質問内容の精査等を行い、変更が必要かを検討する予定である。調査の実施は2024年1月ごろを計画している。また、2023年度は、2022年度調査の研究成果を公表する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、地域在住高齢者の情報通信機器利活用の実態と健康状態との関連を明らかにすることを目的に質問紙調査を実施した。2022年度の執行額はほとんどを調査に使用しており、主な調査費用は郵送費と印刷費であった。残額が生じた理由としては、調査が年度末であったことで返送料や解析作業などが2023年度に持ち越されていることと、解析結果をもとに分担研究者らと結果の解釈や今後の調査方法等について検討を行う予定であったが、解析が年度内に終えられなかったため、検討が行われていないということがある。調査結果を基にした検討は、2023年度6月以降に行う予定である。話し合いをオンラインで行うか、対面で行うかについては現在検討中である。 また、調査前の概算では予想以上に調査費用が掛かると予測されたため、可能な限りオンラインでの打ち合わせを行うなど、旅費の削減に努めた。 2023年度はタブレット利用教室にかかる物品購入(タブレット3台、Wi-Fi3台)や講師および調査員の謝金、質問紙調査の費用(質問紙・封筒等の印刷代、郵送費)、タブレット教室の打ち合わせや調査員研修旅費、結果の公表(英文校正、投稿費用)などが必要である。
|