研究課題/領域番号 |
22K11257
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
田渕 紗也香 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50871373)
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研究分担者 |
塩見 美抄 京都大学, 医学研究科, 准教授 (10362766)
平 和也 京都大学, 医学研究科, 助教 (70804847)
伊藤 美樹子 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80294099)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 母子保健 / 市区町村 / 低出生体重 / 産後うつ / ミクロデータ |
研究実績の概要 |
本研究は、市区町村主体で行われる出産前後及び乳児期の全母子を対象とする母子保健行政サービスと、母子健康指標との関連を明らかにすることを目的する。本研究の初年度である2022年度は、日本における母子の健康指標の明確化を行った。従来、母子保健のアウトカム指標では死亡指標が用いられることが多い。しかし、日本の母子保健における死亡指標は、世界有数の低率国である。そこで、国内外の文献レビューを行い、本研究における母子の健康指標の定義を行うための知見の整理を行った。その結果、日本は、他の先進諸国と比べて低出生体重児割合が高いまま推移しており、多岐にわたる要因に関する報告は多数なされているものの、プロセスとの関連をみた先行研究は少ないことがわかった。また、母子保健対策の重要課題とされる産後うつは、周囲から気づかれにくく、医療に適切に繋がりにくいことから、産後の家庭訪問効果が期待されるものの、国内研究においては定量的評価は報告されていなかった。以上を踏まえて、本研究では、低出生体重児割合及び産後うつの2つの健康指標に着眼することとした。 さらに、市区町村における母子保健行政サービスの把握のため、研究班で市区町村対象の質問紙調査票の内容の検討を行った。その後、現任保健師を交えて検討し内容の妥当性を確認した。市区町村単位の低出生体重児数は、公的統計ミクロデータに該当するため、利用申請に向けた事前相談を行った。 2023年度は全市区町村に対する質問紙調査の実施、及び公的統計ミクロデータのデータ解析を行った。2024年度も質問紙調査の継続実施、及び収集したデータの分析を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
倫理審査委員会の承認がおりるまでに時間を要した。さらに、2024年1月1日に発生した能登半島地震により、調査対象市区町村の変更を行うことでも計画に修正が生じた。そのため当初計画より半年以上遅れての調査開始となった。そのため、市区町村への郵送調査が年度末に差し掛かったこともあり、計画していた数のデータ収集ができていない。2024年度は、再依頼にてデータ数の収集に努める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
①質問紙調査、②公表されている公的統計、③公的統計ミクロデータの3つのデータソースから収集した情報を、各データに含まれる市区町村符号を用いてリンケージし市区町村単位のデータセットを作成・分析を行う。プロセス(母子保健行政サービス)とアウトカム(産後うつ、低出生児割合)との関連について確認する。 これらの研究を通じて得られた結果について、学術論文誌や研究大会等において成果の発表・報告を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ回収率が低いため、未返送自治体へのリマインドを目的とした市区町村郵送調査を実施する。また、データ入力等事務作業にかかる人件費、成果発表のための学会誌投稿料及び英文校閲費に使用する計画である。
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