研究課題/領域番号 |
22K11291
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
渡邊 塁 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 客員研究員 (20793326)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 共感 / 他者理解 / fMRI / 模倣 |
研究実績の概要 |
2022年度は当該研究に関わるfMRI実験の一つを実施・完了させた。健常者で片麻痺という重い障害を患った経験がなくとも、その動きを真似することにより、その動きに含まれる身体的・精神的困難性を主観的により正確に共感できることが明らかになった。また、それに関連して脳内では共感を試みようとした際に、他者の心理状態を熟慮的に推測する際に働く脳部位や、他者の状況を直観的に感じる際に働く脳部位などの働きが調整され、主観的な共感度合いの向上に寄与することが示された。この成果は国際学術雑誌である「NeuroImage」に掲載された。また国際学術会議である「World Congress of Neurorehabilitation」において発表し、一定の評価を得た。 また、当該研究における次なる実験へ着手し、fMRIによる脳データ、心理的な主観尺度の測定をしている。現在、測定を続けながら解析も実施している。本実験では、実際経験できない片麻痺の動きであっても、その動作対象に物体がある、もしくは他者との相互動作であった場合、その動きに伴う心的状況が、健常者であっても共感し得るか検討している。現時点では、動作が他者との相互作用動作である場合に、共感に関わるいくつかの脳部位が特徴的な活動を示すことが明らかになっている。また心理尺度を含めてさらなるデータ測定を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は既に最初の実験の完了から成果の公表を国際学術雑誌に掲載するに至った。その結果として、健常者からすると実際に経験し得ない脳卒中片麻痺患者の動作であっても、その動きを模倣することで、その動きに含まれる精神的、身体的な困難性への共感が向上することが示された。また、その後の実験として、同様に片麻痺の動きであっても、その動作に対象物があったり、他者との相互作用動作であった場合に、その困難性の共感に対して影響があるか、主観的心理尺度、脳活動を測定することで検討している。データ測定も終盤に入っており、順調に研究が進んでいると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に現在実施している実験のデータ測定、解析の完了まで想定している。また、年度内にはその成果を論文として作成し、国際学術雑誌に投稿を完了、可能であれば掲載まで至ることを目標とする。また、並行して今年度の後半には新たなfMRI実験に着手することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度において、実験データ測定数が想定よりもわずかに下回った。そのため、予定していた謝金額がやや予定よりも下回ったことによる。この点に関しては、次年度中に使用予定である。
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