研究課題/領域番号 |
22K11307
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研究機関 | 医療法人福岡桜十字(桜十字先端リハビリテーションセンター SACRA) |
研究代表者 |
脇坂 成重 医療法人福岡桜十字(桜十字先端リハビリテーションセンター SACRA), リハビリテーション部, 研究員 (70843613)
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研究分担者 |
松田 鶴夫 北九州市立大学, 環境技術研究所, 教授 (60258598)
玉利 誠 令和健康科学大学, リハビリテーション学部, 教授 (80786145)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脳卒中 / 手指麻痺 / 手指リハビリテーション支援システム / Narem / 片麻痺 / 運動主体感 / 脳画像解析 |
研究実績の概要 |
本研究は,申請者らが脳卒中後の手指麻痺の改善を目的として開発した手指リハビリテーション支援システム(Functional Trhabikitation Support System:Narem)の効果検証を行うことを目的とする.研究方法は,脳卒中者を対象とした無作為化比較試験を行うとともに,MRIを用いた脳内の構造的および機能的ネットワーク解析により,手指麻痺の回復に関わる神経メカニズムを解明していく. 研究実施計画は,① 回復期・維持期脳卒中者30名程(回復期20名,維持期10名)を対象として無作為化比較試験によるNaremの効果検証を実施していく.② ①に並行して,脳卒中者30名程(回復期20名,維持期10名)を対象に,MRIを用いてNarem介入前後の拡散テンソル画像(DTI)と安静時機能画像(rsfMRI)を撮像し,脳の領域間ネットワークの構造的結合と機能的結合の変化を横断・縦断的に調査し,Naremによる手指麻痺の回復と神経ネットワークの関係性を解明していく.③ 手指麻痺に対する従来の治療法(CI療法、ミラー療法)単独での治療とNarem併用による治療効果の比較検証を行い,Naremを用いた手指麻痺に対する新たな治療法の確立を目指していく. 2022年度の研究実績は,① 回復期8名,維持期30名の介入検証を実施.② 回復期0名,維持期0名(5月に3名撮影予定)の脳画像撮像を実施.③ 回復期1名,維持期7名の介入検証を実施.学会発表3演題(2演題発表済み・1演題発表予定),論文作成中.現時点での研究成果としては,維持期脳卒中者に対して,Naremによる手指トレーニングを行うことで,手指機能の改善や痙縮の軽減,生活場面での使用頻度の向上に繋がっており,Naremは脳卒中者の手指機能の回復を目的とした治療システムとして有効であることが示唆されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症の影響により約8カ月間の研究活動の中断を余儀なくされ,回復期の症例数が目標人数に達しなかった.また,MRIの撮像も同様の理由に加え,対象者のリクルートに難渋し,回復期においては1名も撮影できていない.維持期においては,3名の撮影を5月に実施予定である. 一方で,維持期脳卒中者は当初の予定より20名多く介入検証が出来た.また2023年度より開始予定であった,手指麻痺に対する従来の治療法(CI療法、ミラー療法)単独での治療とNarem併用による治療効果の比較検証も,すでに回復期1名・維持期7名の介入検証が出来ている.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,引き続き対象者のリクルートを行い,症例数を増やしていく(特に回復期脳卒中者ならびにMRI撮影者).現時点で,回復がプラトーに達した維持期脳卒中者においてもNaremによる介入効果が得られていることからも,Naremは発症からの経過日数を問わず,手指麻痺を有する患者に広く適応できる可能性があると考えれるため,引き続き効果検証を進めていく.また,Narem使用中の脳活動に及ぼす影響を,光トポグラフィ技術(NIRS)を用いた検証も予定している.成果報告としては,2023年度内の論文投稿を目標とする. 各研究の具体的方策を下記に示す. ① 回復期残り10名の介入を目標とする. ② 回復期10名,維持期10名へ目標人数を下方修正. ③ 回復期残り9名,維持期3名の介入を目標とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度内での備品等の購入ならびに論文投稿に至っていないため,備品や論文投稿に係るが費用が次年度使用額へ繰越しとなっているが,令和5年度内に使用予定である. また,Naremシステムversionアップとして令和4年度に60万円使用予定としていたが,Naremと並列運用可能なfNIRS Uinitが試作(こちらからの仕様変更)並びにセンサ込みで総額約100万円を超えるものであった.そのため, 分担金から賄うことができないと判断したため,研究分担者の別の研究費より計上した. 尚,分担金については令和5年度にはNaremの海外見本市での紹介なども計画されているため,これらの予算と各種消耗品(Nirsセンサー等)に充当する予定である.
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