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2023 年度 実施状況報告書

休職中の多角的心身データの多変量解析による復職レジリエンス予測モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 22K11310
研究機関名古屋大学

研究代表者

星野 藍子  名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (10534406)

研究分担者 天野 成昭  愛知淑徳大学, 人間情報学部, 教授 (90396119)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードうつ病 / 復職 / メンタルヘルス / レジリエンス
研究実績の概要

本研究では復職レジリエンスモデルの構築を目指し、現在休職中で復職支援を受けているうつ病・双極性障害などのメンタルヘルス疾患の対象者の多面的なデータを収集している。2023年度は昨年に引き続きデータの収集を進めている段階である。これまでに約150名程度のデータを収集ができた。一方でそれらのデータの中には欠損データや復職後の転機について、不明な対象者もいるため、現在そのデータの照査を行っている段階である。
主として抑うつデータに収集に加え、当初の計画通り、活動量やカルテ記載内容などを含め包括的なデータ収集を行った。
2023年度は、予備解析として行ったいくつかの要素について検証結果を報告した。カルテ記載の自然言語処理解析により復職までの休職期間がどのような特徴を持つのかについて解析し、論文を発表することができた。また、患者のインタビューデータをもとに抑うつ度に応じた活動度を検討し、報告した。
さらにこれらの研究と並行して、企業でのメンタルヘルス予防の観点から研究を進めている。ストレスチェックを利用した抑うつの予測や、腸内細菌に関連する調査、孤立孤独に関するアンケートを実施した。これらに関して、本研究のデータとも関連を検討したうえで、学会等での発表を行った。これはファイザーヘルスリサーチ振興財団およびJST地の開拓者育成事業の支援も受けて実施しているものであり、これらの成果物は本レジリエンスモデルにも活かされる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね順調に進んでいるものの、データの照査が不足する部分があり現在追加でその作業を行っているため、少し進捗に遅れがある。
具体的には、主要アウトカムの一つである再休職に関する情報の獲得である。研究対象者の復職後の職務形態は非常に多様であり、軽減勤務、在宅勤務など様々な形態がある。さらに医療機関の診療を終了しているケースもあり、そういった場合に復職後の状況を把握することは困難である。また再休職している場合においても、従来の医療機関とは異なる医療機関を利用している場合もあり、そういった場合にはさらに調査が困難となる。現在は同意をいただいている対象者に関して、再休職や現在の勤務形態が不明な場合において、企業や本人へのアクセスによってこれらの情報取得が可能かどうかを検討している。現在倫理委員会の承認を得るべき内容かどうかを含め、十分に検討している段階である。なお、それ以外の情報については多くの場合、データを収集することができているため、それらの点については問題はない。

今後の研究の推進方策

2024年度は最終年であり、総まとめの段階になる。以下を方針とする。
①復職レジリエンスモデルの構築を目指した解析:これまでのデータをもとに復職レジリエンスモデルの構築を行っていく。具体的にはデータの解析が中心となる予定である。
これまでに得らえたデータの欠損やそれを補う統計手法を含めたうえで、解析を実施していく。また不足するデータに関して、追加で周到する方法がないか臨床の現場を含め十分に検討し、当初目的達成のために検討を重ねていく予定である。
②研究成果の発信:結果を迅速に論文化、国際的な場において報告する。
具体的には11月に開催される国際シンポジウムでの発表を予定している。また本研究のモデルに関する論文を産業保健、作業療法、メンタルヘルス領域の国際誌に報告予定である。
③実装とさらなる研究への発展の検討:これまで我々が構築してきたリワーク施設や企業との関係を活かして、この結果を実装する手立てを検討していく予定である。この検討にはこれまで行ってきた他の研究成果も利用していく。さらにそれらのための資金確保としての研究費の獲得も行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初2023年度後半より解析をはじめる予定であり、そのための費用を予定していたが、データの照査に時間がかかっていたため、使用をしていなかった。2024年度は解析を中心に進める予定でそれらの予算を迅速かつ的確に使用する。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Relationship between duration of sick leave and time variation of words used in return-to-work programs for depression2024

    • 著者名/発表者名
      Kutsuna Ichiro、Hoshino Aiko、Morisugi Ami、Mori Yukari、Shirato Aki、Takeda Mirai、isaji Hikari、Suwa Mami
    • 雑誌名

      Work

      巻: 77 ページ: 981~991

    • DOI

      10.3233/WOR-230083

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Variation in Lifestyle and Readiness of Participants of a Return to Work Program According to Depressive State by a Mixed Design Method2023

    • 著者名/発表者名
      Hoshino Aiko、Kutsuna Ichiro、Usui Ami、Mori Yukari、Suwa Mami
    • 雑誌名

      Asian Journal of Occupational Therapy

      巻: 19 ページ: 195~204

    • DOI

      10.11596/asiajot.19.195

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 難治性うつ病と作業療法2023

    • 著者名/発表者名
      星野藍子,沓名一朗,川村匡史
    • 雑誌名

      臨床作業療法NOVA

      巻: 20 ページ: 21-32

  • [雑誌論文] The relationships among activity information, personal recovery, and related psychosocial factors in psychiatric day-care users in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Isaji Hikari、Hoshino Aiko、Asakura Tatsumi、Yamashita Yuji、Murata Natsumi、Kito Aki
    • 雑誌名

      British Journal of Occupational Therapy

      巻: 87 ページ: 114~124

    • DOI

      10.1177/03080226231198343

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pandemic-Induced Occupational Disruption and Association With Health in Japanese Community-Dwelling Older Adults2023

    • 著者名/発表者名
      Uemura Jun-ichi、Uno Kohei、Hoshino Aiko、Sano Tatsuhiko、Tanikaga Miki、Tanaka Masahiro、Mizuno Junpei
    • 雑誌名

      OTJR: Occupational Therapy Journal of Research

      巻: 12 ページ: -

    • DOI

      10.1177/15394492231215515

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Recovery of autonomic dysfunction assessed by heart rate variability after acute stroke: an observational study2023

    • 著者名/発表者名
      Hoshino Takashi、Oguchi Kazuyo、Hoshino Aiko、Hoshiyama Minoru
    • 雑誌名

      International Journal of Therapy and Rehabilitation

      巻: 30 ページ: 1~11

    • DOI

      10.12968/ijtr.2021.0033

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gender differences in psychosocial factors related to severe stress in a construction company in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Hoshino Aiko、Shirato Aki、Kutsuna Ichiro、Uemura Jun-ichi、Chishima Makoto
    • 雑誌名

      Work

      巻: 74 ページ: 1497~1506

    • DOI

      10.3233/WOR-211307

    • 査読あり
  • [学会発表] 働く人の心の健康に関する研究2023

    • 著者名/発表者名
      星野藍子
    • 学会等名
      中部大学心理コロキアム
    • 招待講演
  • [学会発表] 休職・離職の予防に向けた企業内ストレスによる精神障害の早期検出基準の確立2023

    • 著者名/発表者名
      星野藍子
    • 学会等名
      第30回ヘルスリサーチフォーラム
    • 招待講演
  • [学会発表] 労働者の心の健康を守る包括的予防モデルの構築2023

    • 著者名/発表者名
      星野藍子
    • 学会等名
      令和五年度T-GEx研究成果エキシビションー分野の壁を超える
  • [学会発表] 同一課における同僚のメンタルヘルス不調に対する傷病欠勤の影響2023

    • 著者名/発表者名
      小井 美波 , 沓名 一朗 , 白戸 晶 , 稲葉 瑛美 , 星野 藍子
    • 学会等名
      第57回日本作業療法学会
  • [学会発表] 中小企業における Covid-19下での 職業性ストレス増加に関連した要因の検討2023

    • 著者名/発表者名
      星野藍子, 沓名一朗,小井美波
    • 学会等名
      第30回日本産業精神保健学会
  • [図書] 精神科リハビリテーション評価法ハンドブック2023

    • 著者名/発表者名
      早坂友成,岩根達郎,森元隆文,星野藍子(他)
    • 総ページ数
      563
    • 出版者
      中外医学社
    • ISBN
      978-4-498-22946-4

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公開日: 2024-12-25  

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